・会社のレイアウト変更に伴う整理で、長年保管されていたウォーターマンの万年筆を発掘。インクが出ないというアナログな問題に、娘のデジタルな検索能力で対処。万年筆を使うことで取り戻した「書くこと」の悦び、手書き文化の価値を実感。
会社のレイアウト変更でデスクワゴンが廃止されることになり、代わりにロッカーが充てがわれることに。
荷物の収納量が減るので整理をしなければならずでしたけど、予想していた通り、もはや不要な書類ばかりでした。
そんななか、あれ、これ何だっけ?と目に止まった箱。
中には、すっかり忘れていた万年筆が入っていました。
これ、確か社内研修に参加した際、卒業記念に貰ったものだったかな。
私のイニシャルも刻まれていて、安物ではないような、しっかりとした作りです。
「WATERMAN」と書いてあるのでネットで調べてみると、万年筆の歴史において非常に著名なメーカーとのこと。
Geminiに調べてみてもらったところ…
ウォーターマンは、1884年にルイス・エドソン・ウォーターマンがニューヨークで創業した、世界最古の万年筆メーカーの一つ。
「毛細管現象」の原理を応用し、インク漏れを防ぐ実用的なフィードシステムを開発したことで知られている。
この技術革新が、万年筆を実用的な筆記具として広く普及させる上で決定的な役割を果たした。
高い技術力と洗練されたデザインは、長らくフランスのパリを拠点に、高級筆記具の地位を確立している。
そうか、なるほど。
そういえば、大学生時代は万年筆を使っていたっけ。
それまでのシャーペンから卒業し、初めて万年筆を使い始めた時は、何だか大人になったような気分にさせてくれるアイテム。
社会人になってから、利便性の高いボールペンやPC入力に取って代わられたのは、思考のスピードに合わせて「書くこと」を楽しむ余裕がなくなったから、なのかな。
最近はPCがメインでノートは補助的なものなので、突然のインク切れやメンテナンスの手間でも業務に困ることはほぼないはず。
よし、これをちょっと使ってみようかなと、デジタル時代だからこそのアナログな回帰を試みることにしました。
万年筆の復活劇
ところでインクってどこで買えばいいんだ… あ、そうだ!
勤務先では万年筆も扱っている、なんて娘が言っていたのをふと思い出しました。
早速聞いてみると、勤務先の詳しい人に聞いてみてくれるとのこと。
その日の夜、「これならば大丈夫と言っていた。」とインクのカートリッジを持ってきてくれたんです。
娘のネットワークを駆使した情報収集能力に感謝しつつ、よしと装着してみると、カチンと心地よい音。
それでは試し書き… あれ、書けないぞ。
あぁそうか。
万年筆は毛細管現象でインクが吸い上げられてくるので、暫く待たなければいけないんでした。
10分ほど待って、改めて試し書きを… むむっ。
まだ駄目か…
その後もインクが出てこず、こりゃもしかして壊れているのかな…
貰ったのは多分20年ほど前、一度も使ってはいないものの、長年の放置で経年劣化してしまったのかなと諦めかけたところ…
ここで再び娘が大活躍。
スマートフォンでネットを検索し、「インクが出てこない場合は、ペン先に濡れたティッシュを当てる」というのを発見してくれたんです。
毛細管現象の理屈を考えれば、インクの通り道であるフィード部分に外部から水分を供給してやれば、インクが流れ始めるのは確かにその通り。
言われた通りにやってみたところ、一瞬にして問題は解決でした。
万年筆がもたらす「書く」という体験の深化
最初は書きにくさを感じるものの、書き慣れてくるとなかなか。
万年筆は、紙の上を滑るような、なめらかで独特な筆記感をもたらしてくれます。
筆圧によって線の太さや濃淡が微妙に変化し、書き手の個性が文字に深く反映されるのが魅力。
インクが紙に染み込んでいく様子や、その色合いの変化を視覚でも楽しむことができます。
思考のスピードをあえて落とし、「文字」そのものを丁寧に書き出すという行為。
これはデジタル入力では得られない、自己と向き合う瞑想的な時間というと大げさ過ぎるかな。
終わりに
この万年筆の復活劇は、アナログな道具の問題をデジタルな検索技術(娘)が解決するという、なんとも現代的な出来事。
これを機に、普段のノートに万年筆で書くという行為を意図的に継続してみようと思います。
あ、万年筆を無くさないよう、要注意ですね。
【おまけのワンポイント】
・毛細管現象は、インクジェット印刷技術などにも応用されている極めて基礎的で重要な物理現象。19世紀に確立されたアナログ技術が、現代の最先端ITデバイスの製造にも根付いているというのは、歴史と技術の深いつながりを示していますね。
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