モーションウィジット

2025年12月5日金曜日

【イベント】ブルーインパルスが魅せる!アクロバット飛行に凝縮された確たる信頼関係と究極の技術

【この記事のポイント】
・入間基地航空祭の目玉、ブルーインパルスの曲技飛行。テイクオフの変化や、チェンジオーバーターン、4シップインバーテッドなどの曲技を堪能。


昨日の記事の続き、いよいよ入間基地航空祭のハイライト、ブルーインパルスの出番。
会場全体が静まり返る中、パイロットたちがコックピットに乗り込み、エンジンに火が入ります。



いよいよテイクオフ… あれ?
これまでは4機揃っての編隊離陸が多かったのですが、今回は3機。

演技構成の変更があるのかどうか。
いずれにせよ、3機が編隊を組んで力強く滑走、一瞬のインターバルで次々と大空へ駆け上がっていく姿は壮観です。



上空では4機揃って、密集隊形での飛行を披露してくれました。

4機の機体が寸分たがわぬ距離で飛行する様子。
パイロットたちの高度な集中力と連携を示す、ヒューマン・ファクターの極致ですね。

ただ、この写真はISO感度設定を間違えているので粗い…

曲技飛行の美学と技術



私が大好きなチェンジオーバーターン。



チェンジオーバーターンは、縦一列の隊形で進入後、2機が同時に上方に展開、瞬時にデルタ隊形に変換するという技。

各パイロットが互いの速度と高度を正確に共有し、操縦技術で実現しているからこそ可能な高度な連携技です。



5番機が空高く駈け上がっていきますけど、上空に厚い雲。
雲を突き抜けて行くんじゃないかと心配になるものの、そこはちゃんと計算されているので心配無用。

ブルーインパルスの演技には、天候によって三つの区分が設けられているんです。
雲底の高さに応じて、最も高度を使う「第1区分」、中程度の「第2区分」、低高度での演技に限定される「第3区分」。
安全を最優先するため、常にその日の気象条件で最適な演技が選択されています。

この日は雲があっても、「第1区分」でした。



連射で撮影しても、なかなか上手く撮れない2機のクロス。
重なった瞬間がベストなんだろうとは思うものの、スモークが交差しているというのもまた美しいんじゃないかなと。



4シップインバーテッドは、4機の機体が編隊を組みながら、機体を上下逆さまにした状態(インバーテッド)で飛行する極めて難易度の高い曲技。

背面飛行中は機体の操縦特性が通常とは大きく異なるだけでなく、パイロットは通常時とは真逆の操作をすることになります。
この状態で接近した編隊を維持するということは、物理的な負荷だけでなく、精神的な集中力も極限まで高めなければならない。

まさに熟練の職人技と言えるでしょうね。



ワイドトゥデルタループ、スケールがデカい技です。

この技は、まず5機が大きな間隔(ワイド)を空けた編隊で進入し、そのまま垂直に急上昇。
ループ(宙返り)の頂点付近で、機体が互いに接近し、密集した三角形(デルタ)の隊形へと変化させます。

そして、そのまま急降下しながらループを完了させるという、隊形変化と垂直機動を組み合わせた、ダイナミックで高度な曲技。



6機揃って上空を通過。
ブルーインパルスの機体であるT-4は練習機なので、音が静かなんですよね。

陽光を浴びる機体とスモーク、いや〜美しい。
静かながらも力強いその飛行は、日本の航空技術の洗練された一面を物語っています。



上向き空中開花とスタークロス。

上向き空中開花(サークル&アローズ)は、5機が会場中心に向かって一直線に突入し、そこから急上昇しながら一斉に外側へ拡散、空中に大きな花を描くような技。
その後、スタークロスで空中に星を描き出します。

会場の観客すべてに最高の感動を届けるよう、空間的な配置とタイミングが綿密に計算された演出の集大成だなと。



ラストを飾るのはコークスクリュー。

コークスクリューは、5番機が6番機の周りを螺旋状に回転しながら飛行する曲技。
その名の通り、コルク抜きのように回転しながら上昇または下降していくさまは、アクロバティック飛行の極致です。

編隊の軸となる機と、周囲を回転する機体の間で速度と距離の厳密な同期が求められる。
一歩間違えれば接触事故に繋がりかねない、究極の信頼関係の上に成り立つ技なんですよね。

終わりに



いや〜、相変わらずの素晴らしい演技、時を忘れて感動に浸れた事に感謝です。

青空に描かれるスモークの軌跡は、一瞬で消えるアートのようなもの。
写真という形でその美しさを残せるのは、写真趣味を持つ者にとっての至福ですね。

さてと、今年の入間基地航空祭はこれでお終い。
次はランチにというところで、続きはまた明日。




【おまけのワンポイント】
・ブルーインパルスの演技に使用されるスモークは、航空機のジェットエンジン排気口に燃料(主に軽油)を噴射して、その熱で気化・白煙化させるという、比較的シンプルなアナログ技術。

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