・昨年夏に銀座『奈良まほろば館』で一目惚れした『柿アンサンブル』。干し柿の濃厚な糖度とバターの乳脂肪分は、口の中でどのようなハーモニーを奏でるのか。
昨年夏、銀座の『奈良まほろば館』に行った時、その独特の雰囲気に惹かれて購入した「柿アンサンブル」。
いつか食べようと冷蔵庫に保管していたんですけど、賞味期限が近づいてきたので食してみることにしました。
和洋折衷のバイナリ:干し柿とバターの危険な関係
パッケージには、「干した柿を幾重にも重ね、濃厚なバターでサンドしました」との説明。
日本古来の保存食である干し柿と、西洋料理の根幹を支えるバターって…
異なる二つの食材、果たして一つの食品として共存できるんだろうか。
先日体験した「水戸納豆ソフト」ほどの衝撃的な違和感はないにせよ、疑念を感じざるを得ない組み合わせです。
そもそも、「柿」という存在はどこまで「和」なんだろう。
気になってGeminiに問い合わせてみたところ…
「干し柿のベースとなる『柿』という植物のルーツは中国にありますが、それを乾燥させて保存食にする文化は、日本を含む東アジア全体で古くから独自に発展してきました。」
「ちなみに、木に成ったままでも甘い『甘柿』は、鎌倉時代に日本(現在の神奈川県川崎市あたり)で偶然発見された日本固有の突然変異種だと言われています。」
なんと、私たちが当たり前のように食べている「甘柿」は、中世日本の偶然が生んだ奇跡の産物なんですね。
多層構造の美学:視覚と味覚のレンダリング
さてと、食べてみるとしましょうか。
包丁を入れ、その断面を確認するところから「柿アンサンブル」の真価が発揮されます。
慎重にスライスすると、そこには琥珀色の干し柿が地層のように幾重にも重なり、中央にバターを抱え込んだ見事な模様が現れます。
その断面図は、まるで職人が丹念にレイヤーを重ねた精緻な工芸品のよう。
マクロレンズでじっくりとフォーカスを合わせたくなる美しさです。
意を決して一切れを舌の上に乗せると、まずは干し柿の凝縮された「和の糖度」が脳を刺激。
そこへ間髪入れずに、冷えたバターが体温でゆっくりと溶け出し、濃厚なコクと微かな塩気が干し柿の甘みを助長するんです。
「和」と「洋」の味が喧嘩するどころか、互いを補完し合うような、完璧なパッチワーク的美味しさ。
柿のねっとりとした食感と、バターの滑らかな口溶けが交互に押し寄せ、口内はまさにオーケストラの「アンサンブル」状態です。
これはもはやお菓子というよりは、濃いめに淹れた珈琲か、あるいは辛口の白ワインとあわせる大人のための嗜好品。
気づけば「賞味期限」の心配などどこへやら、あっという間に完食でした。
いや〜、美味しかった。
食わず嫌いという妙な先入観を取り除くことの大切さ、これを改めて実感したひととき。
奈良の知恵と、西洋の贅沢が融合したこの逸品。
銀座を歩く際には、リピート確定のリストに加えておこうと思います。
【おまけのワンポイント】
・柿の学名は Diospyros kaki。実は世界共通語として通用する、日本を代表する果物界の「グローバルスタンダード」らしいです。
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