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2026年1月25日日曜日

【旅行】佐竹54万石のプライドを辿る。舞鶴城跡に息づく「源氏の血脈」と大ケヤキの威容

【この記事のポイント】
・茨城県北部、久慈川のほとりに広がる歴史の街「常陸太田(ひたちおおた)」に。名門佐竹家の栄華と、関ケ原という歴史の転換点がもたらした数奇な運命を辿る。


常陸太田という地名、ご存知でしょうか?
実は私も数年前までノーチェックだったのんですけど、「水戸黄門が隠居した西山荘(せいざんそう)がある」という情報を得て以来、ずっと気になっていた場所でした。

水戸から水郡線に分岐して向かうというアクセスの特性上、日帰りには少し遠く、宿泊するには近すぎるという微妙な距離感だったんですけどね。
今回の旅でようやく、その地に足を踏み入れることができました。

北関東の覇者:佐竹家が築いた54万石のプライド





まず向かったのは、かつての専売公社跡地、太田城三の丸跡地です。

ここ常陸太田を本拠地としていたのは、戦国時代の名門・佐竹家。
佐竹家は清和源氏の流れを汲む超名門であり、室町時代から常陸国を統治してきた有力守護大名です。

戦国期には「鬼義重」と恐れられた佐竹義重らが北関東に覇を唱え、一時は北条家や伊達家とも渡り合ったほど。

豊臣秀吉の小田原征伐に参陣したことで、常陸一国54万石余という広大な領地を安堵。
これは当時の大名の中でも全国8番目という、凄まじい存在感を誇る規模でした。

ところが、その栄華も歴史の荒波によって大きな転換点を迎えることになります。

1600年の関ケ原の戦い。
佐竹家は東西どちらにつくか曖昧な態度をとったことが、勝利した徳川家康の逆鱗に触れることに。

結果、1602年に秋田へと転封。
石高は20万石へと激減し、そのまま明治維新まで秋田の地を治めることとなったんです。

鶴の舞う城:太田城から水戸へ続く道





佐竹家の本拠地であった太田城は、別名を「舞鶴(まいづる)城」と呼ばれていたんだそうです。

もともとは平安時代末期に築かれたと言われるこの城は、常陸太田の台地を利用した堅城。
佐竹家はこの城を拠点に勢力を拡大し、領国経営の中枢として機能させてきました。

しかし戦国末期、より広大な領地を統括するために、拠点を水戸へと移します。
これが現代に至る茨城県の県庁所在地・水戸の発展のルーツとなったんだそうです。

このときに舞鶴城はその役目を終えたというのが、この地の歴史。

源氏の血脈:若宮八幡宮に刻まれたアイデンティティ





かつての二の丸跡には、現在は若宮八幡宮が鎮座。
佐竹家が清和源氏の一家系であることを何よりの誇りとしていた証左が、この社の存在です。

鎌倉幕府を開いた源頼朝と同じ「源氏の氏神」である八幡宮を祀ることで、その正統性を誇示。
格式高い血筋を重んじる佐竹家のアイデンティティが、この参道の静謐な空気の中に息づいているような気がします。



参道を抜けると、威厳ある拝殿が姿を現します。

若宮八幡宮は、佐竹氏の祖である佐竹昌義公が12世紀に創建したと伝わる由緒正しき社。
以来、佐竹氏代々の祈願所として、また地域の守護神として厚い信仰を集めてきました。

武運長久を祈った武士たちの熱量が、長い年月を経て深い風格へと昇華されているような。



境内の一角に「太田故城碑」があるとの情報を得て探してみましけど、おそらくこれではないかなと。
石碑は激しく風化しており、文字は完全に消えてしまっています。

とはいえ、読めないからこそ、そこに刻まれていたであろう「歴史の重み」を想像する愉しみがあるというわけです。

自然のアーカイブ:樹齢を重ねた「大ケヤキ」の威容





この神社のシンボルとも言える「大ケヤキ」を拝見。
茨城県の指定文化財であるこのケヤキは、推定樹齢600年以上と言われる巨木です。

佐竹家が秋田へ去り、徳川の世となり、そして現代に至るまで、この街の変遷をすべて記録してきた存在。
幹周りは5メートルを超え、天を突く枝ぶりは、周囲の住宅街の中でそこだけ時間が止まったような神々しさを放っています。

厳しい冬の風に耐えながら立つ姿は、まさにこの地の歴史そのものを体現しているかのようでした。

佐竹家の城跡を辿り、風化した石碑を眺めて往時に思いを馳せる。
これは世間一般から見れば、完全に「歴史オタク」の所業でしょうけど、私にとってその充足感は何物にも代えがたいものです。

歴史の流れの中に、自分なりの発見を見出す喜び。
私の影響か、すでにその世界に片足を突っ込んでいる息子も、このディープな散策に満足げな様子でした。




【おまけのワンポイント】
・佐竹家が秋田へ移った際、領内の美人を多く連れ去ったのが「秋田美人」のルーツになったという、真偽不明ながらも興味深い都市伝説が残っているのは面白いですね。

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