・35年という永い眠りについていたモンブラン。ぬるま湯での洗浄というアナログなメンテナンスで、時を越えたインクが溶け出す。そしてプライベート手帳への現役復帰へ。
昨日の記事では、偶然発掘されたヴァレンティノの万年筆が見事に復活した様子をお伝えしました。
今日の主役は、もう一本の眠れる獅子、モンブラン。
この万年筆には、個人的に非常に深い思い出があるんです。
大学時代に愛用しており、遡れば中学の入学祝いに両親から贈られたもの。
私にとって、人生で初めて手にした本格的な文房具でした。
使わなくなってしまったのは社会人になった頃、ってことはかれこれ35年ほど眠っていたことに。
初めて手にした時から数えれば、もう45年ほど経過しているという代物です。
さすがに古すぎるので、復活させるのは難しいだろう。
なんて思いながら、ネットで調べた方法を試してみました。
静かなる再生:ぬるま湯の洗浄工程
再生の方法は、驚くほどシンプル。
ペン先をぬるま湯に浸し、固着した古いインクをゆっくりと溶かし出していくだけです。
お湯に浸した瞬間から、溜まっていた古いインクがまるで生き物のように揺らめきながら溶け出してきます。
その量は予想以上に多く、何度も新しいお湯に取り替えながら、半日かけてじっくりと対話を続けます。
だいぶ薄くなってきましたけど…
これ、お茶にペン先を落としてしまったのみたいでシュールだなと。
とはいえ、この忍耐強い作業こそが、精密なペン先のインク供給路を再び開通させる道らしい。
35年の時を越えた再会と現実
この万年筆、胴軸に予備のカートリッジ1本を収納できるような機構になっています。
そこには当時私が入れたであろうカートリッジ、振るとカラカラと音がするんですよね。
セーラーはまた使えたけど、モンブランは駄目なんだろうな。
なんて思いながら装着してみたところ…
あ、書けた!
ぬるま湯に漬けていたので淡い色ですけど、しっかりと書ける。
細い線の感触も当時の記憶通り、35年という永い眠りからの復活です。
いやぁ、モンブランもやるな〜、なんて思っていたのもつかの間。
すぐにインク切れになってしまったのは、インクの半分以上が固形化してしまっていたからでした。
品質への投資:新しい命を吹き込む
万年筆を現役復帰させるべく、銀座の伊東屋で新しいカートリッジを購入してきました。
さすがは世界を代表する高級ブランド。
8個入りで1,650円、1個200円以上というなかなかのランニングコストです。
とはいえ、書き心地は抜群。
上にも書いた通り細字なので、小さな文字を書くにはこれが一番です。
効率を捨てた先に待っていた、指先に伝わる「書く」という確かな手応え。
効率優先の現代において、この微かな抵抗こそが贅沢の本質でした。
よし、これはプライベートの手帳で使うことにしよう。
ということで、次の記事では手帳の刷新について書くことにします。
【おまけのワンポイント】
・新調したカートリッジを装着した瞬間のワクワク感は、新しいガジェットをセットアップする時に似た、知的な興奮がありますね。皆さんの引き出しの奥にも、眠っている物語があるかもしれませんよ。
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