・明治神宮を目指す休日ウォーキング。千駄ヶ谷駅からスタートし、道中で『鳩森八幡神社』へ。そこで出会ったのは、都内最古級の「富士塚」。標高わずか6mのミニチュア富士登山に挑みつつ、江戸庶民の信仰の歴史と、都会の真ん中に残る意外な自然に触れました。
とある休日。
この日はふと、明治神宮に行ってみようかと思い立ったんです。
厳しい暑さが続いていますけど、あの広大な明治神宮の森の中ならば少しは涼しく歩けるかもしれない。
そして6月に訪れた奈良の橿原神宮。
初代天皇を祀るあの神社の雄大さと、明治天皇を祀るこの神社はどう違うのか。
改めて自分の目で確かめてみたい、なんてことを考えた次第。
ただ、普通に原宿駅まで電車で行くのでは面白くない。
あえて手前の千駄ヶ谷駅で電車を降り、そこからウォーキングを始めることにしました。
千駄ヶ谷に佇む、歴史ある鎮守の社
千駄ヶ谷の住宅街を歩いていると、趣のある神社に到着。
『鳩森八幡神社』、せっかくなので、寄り道していくことにしましょう。
この神社の歴史は古く、一説には貞観2年(860年)、慈覚大師が関東巡錫の際、この地で鳩が森のように群れ集うのを見て神様の使いだと感じて村民とともに祠を建てたのが始まりとされているそうな。
八幡神社は、実は全国で最も数が多い神社だと言われています。
その御祭神は、第15代天皇である応神天皇。
武運の神様として、源氏をはじめとする多くの武士たちから篤い信仰を集めてきているんです。
この鳩森八幡神社もまた、千駄ヶ谷一帯の鎮守の社として、長く人々の暮らしを見守ってきたんだなと。
都会の真ん中で、富士登山
思いの外広い境内を散策していると、境内にはなんと「富士山」がデンと鎮座しているではありませんか。
もちろん、本物ではなく「富士塚」。
この富士塚は、現存する都内の富士塚の中では最も古いものの一つとされ、東京都の有形民俗文化財にも指定されています。
登山道はこの鳥居から始まるようです。
一礼して、よし、出発!
里宮を過ぎた先の登山道は思いのほか狭く、岩がゴロゴロしています。
これを蹴って転ぶんじゃないか、ロープに引っかかって転落するんじゃないか…
高所恐怖症の私、すぐにそんなネガティブな想像をしてしまいます。
心配する間もなく、3分ほどで山頂に到着、標高はおよそ6mだそうです。
登りも下りも狭い道ではありましたが、危険はまずなかたかなと。
この富士塚が築かれたのは、寛政元年(1789年)。
江戸時代、庶民の間では富士山への信仰が「富士講」という形で大流行していたんですね。
とはいえ、誰もが実際に富士山に登れるわけではなし。
そこで富士山を模したこの富士塚を築き、ここに登ることで、実際の富士登山と同じ御利益が得られると考えたのんだそう。
まさに、庶民の知恵と信仰心の結晶。
境内社に隠された、もう一つの歴史
境内にはもう一つ興味深い社、「甲賀稲荷社」があります。
江戸時代、この辺りには、徳川将軍家を守る忍者集団「甲賀組」の屋敷があったそう。
このお稲荷さんはその甲賀組が屋敷内に祀っていたもので、明治時代になってここ鳩森八幡神社に移されたのだそうです。
最後に
というわけで、明治神宮を目指す道中で、思いがけず出会った鳩森八幡神社。
そこは、都心にありながら江戸庶民の信仰の歴史を今に伝える、非常に興味深い空間でした。
特に、富士塚。
江戸の人々にとっての「富士山」という存在の大きさを、身をもって(?)体験することができました。
現地に行かずとも、信仰の対象を再現し、同じ体験価値を得ようとする。
その発想は、現代のIT技術にも通じるものがありますね。
さて、ミニチュア富士登山でウォーミングアップも完了。
いよいよ、本来の目的地である明治神宮へと向かいますか。
鳩森八幡神社
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷1-1-24
03-3401-1284
出入り自由
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