モーションウィジット

2025年6月15日日曜日

【観光】まだ観れた!?南極観測船『宗谷』、意外な再会と船内の記憶 

【この記事のポイント】
・閉鎖されたと思っていた南極観測船『宗谷』の一般公開を知り、急遽見学へ。船内に刻まれた数々の歴史(引き揚げ船、南極観測)に触れ、タロ・ジロの足跡や操舵室からの眺めに感傷を覚えた体験をレポートします。



昨日まで書いてきた東京みなと祭の訪問記、今日も続きます。


意外な発見、南極観測船『宗谷』との再会



東京国際クルーズターミナルを見学し終え、東京みなと祭で頂いたパンフレットを何気なく眺めていると…
ん? どうやら、このすぐ近くに係留されている南極観測船『宗谷』も一般公開しているらしい。

船の科学館が閉鎖されたのが2011年。
それに合わせて、隣接する宗谷の展示も終了したと思い込んでいました。

実はその後も展示は継続され、一時的な閉鎖期間はあったものの、2017年4月からは再公開されているとのこと。
完全に私の認識違い。


宗谷をまだ見学できる、これは嬉しい誤算です。


外部展示と、ちょっとした勘違い




宗谷が係留されている岸壁の脇に、巨大なスクリューが展示されています。

退役した宗谷は、当然スクリューも外されているのだろう。
この巨大な金属の塊を前に感慨にふけっていたのですが、横に添えられた解説板を見ると...

なんとこれは青函連絡船「羊蹄丸」のものなんだとw

しかしこれもまた歴史的な船の一部。
羊蹄丸も日本の発展を支えた重要な役割を果たした船なので、その巨大な推進器を間近に見ることができたこともまた貴重な経験。


いざ、宗谷に乗船



現存する日本の船としては、数々の波乱の歴史を乗り越えてきた稀有な存在。
そんな『宗谷』に乗船できる機会を得られたことに、胸が高鳴ります。

タラップを渡り、いよいよ船内へと足を踏み入れました。


船内探訪:機関長室から探検開始




船内に一歩入ると、まず目に入ったのは機関長室。

船の心臓部とも言える機関室を管理する機関長の部屋。
展示されている人形は、顔も洋服も真っ黒なのはちょっとシュールな。
過酷な環境での作業を物語っている、のかな。


船内の通路は、想像以上に狭く、そして天井も低い造り。
これは宗谷が元々、旧ソ連向けに建造された耐氷構造の貨物船だったことに由来しているんだそう。

その後、特務艦、灯台補給船、そして第二次世界大戦終結後には、海外からの引き揚げ船としても活躍。
多くの人々を乗せて荒れる海を渡った、まさに激動の時代を生きた船なんです。

その歴史の重みが、この狭い船内空間にも染み付いているかのようだなと。


南極観測の記憶を辿る



宗谷といえば、やはり南極観測船としての輝かしい歴史が最も有名でしょう。
その功績を物語る展示が続きます。


船内には、「南極の氷」と説明された展示があります。

青みがかった氷の塊は、遠い南極大陸から運ばれてきた時間の証
喜び勇んで写真を撮ったところ…あれ。

しっかりと私の手が映り込んでしまいました。
写真趣味としてはちょっとした失態、まぁこれもご愛嬌ということで。


南極観測の歴史を語る上で欠かせないのが、樺太犬のタロとジロでしょう。

第一次南極観測隊に同行し、悪天候のためにやむなく現地に置き去りにされたものの、奇跡的に生還した兄弟犬。
このエピソードは、映画「南極物語」として多くの人々に感動を与えましたよね。


さらに粋な演出として、船内の床にはタロとジロのものと思われる犬の足跡。

凍てつく大地を懸命に歩んだ彼らの足跡を辿るような感覚。
こうした細やかな演出が、来場者の感情を揺さぶります。


医療室と、シュールなリアリティ



船内には、医務室(医療室)も再現されています。


こちらは機関長室とは異なり、非常にリアルな人形が配置されています。

ベッドに横たわる患者と、診察する医師。
狭く閉鎖された船内空間で、怪我や病気の治療を担う医療室は非常に重要な場所。

リアルすぎるが故に、ちょっとシュールな印象も受けますが、当時の船上医療の厳しさを伝える展示だなと。


操舵室からの眺めと歴史の重み



船の最上部、操舵室へと上がります。
船を操る者たちが、あらゆる状況下で決断を下した場所ですね。


操舵室の窓から見える風景は、現代の平和なお台場。

しかしこの狭い操舵室には、宗谷が直面してきた過酷な自然の記憶がしっかりと刻まれているはず。
荒れ狂う波涛、分厚い氷塊、そして極寒のブリザード。

そんな過去の情景を想像すると、目の前の平和な風景との対比が胸に迫ります。
この空間に身を置くことで、宗谷という船が歩んできた歴史の重みを肌で感じ、感傷に浸ることができるんですよね。


最後に



東京みなと祭のパンフレットから知った、南極観測船『宗谷』の一般公開。
思わぬ再会でしたけど、その船内を巡ることで日本の近代史、そして南極観測という偉大な事業の一端に触れることができました。

貨物船、引き揚げ船、そして観測船と、数奇な運命をたどった宗谷、今こうして保存され、後世にその歴史を伝えていることの意義を改めて感じます。
歴史を背負う船の雰囲気、これは実際にその空間に身を置いてみなければ分からないものだという深い学びがありました。




【おまけのワンポイント】
・宗谷は1938年竣工。1978年まで活躍した船です。南極観測船になったのは1956年、以降6回にわたる南極観測という功績を残している船です。

0 件のコメント:

コメントを投稿