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2024年12月5日木曜日

【博物館】埴輪の表情が語るものとは? トーハク特別展「はにわ」は12/8まで

【この記事のポイント】
・埴輪は一体一体に表情や個性があり、古墳時代の生活に思いを巡らせるいい素材、観る人を飽きさせない魅力に溢れているんだなと。


今日の記事は昨日の続き、今日は特別展「はにわ」の人物埴輪について。

まずはこれ、え?本当に埴輪?と思いますよね。

山高帽、長髪に髭、フレアパンツといういで立ちは中世ヨーロッパ人のよう。
茨城県で出土したものとのことですけど、モデルは一体何者だったんだろうか。

天冠をつけた男子、これは見事。
福島県いわき市で出土したもの、庇の先が上下に揺れている様子、彩色した顔や衣服など、ほぼ完璧であろう形に復元されているのに感心です。

さて、特別展の真打は桂甲の武人。
五体にスポットライトが当たり、観衆が群がる姿はまるでアイドル。

紙面の関係で、ご紹介するのは最も気に入った1体、千葉の国立歴史民俗博物館所蔵のこちら。

残りの4体は、東京国立博物館、相川考古館(群馬)、天理大学附属天理参考館(奈良)、そしてアメリカのシアトル美術館から運ばれたものも。
兄弟と言われるほど確かによく似た5体、これを一気に観ることができたというのは貴重な経験だったなと。

更に興味深かったのは、彩色を再現した挂甲の武人。
赤は酸化鉄(ベンガラ)、白は粘土、黒はマンガンや磁鉄鉱、灰色は黒と白の混合で塗られていたんだそうです。

改めてこうやって見ると、魂が蘇ったような美しさですね。

両面人物埴輪、頭の両側に顔があるというもの。

一方に矢じり、もう一方に矢羽のような線が刻まれているそうで、これに一体どんな意味があるんだか。
和歌山市の出土、埴輪で現実に存在しないものを作るのは珍しく、両面人物はこれが唯一なんだそう。

明確に性別・職掌・改装が表現された人物埴輪。
縄文時代の土偶と異なる特徴の一つだそうで、現代人がみてもある程度は理解できるほど。

王の権力が強まると人物造形が写実的なものになる、これは兵馬俑やマヤの土偶などとも共通しているんだそうです。

これは盾持人、気持ちいいほどニッコニコじゃないですか。

埴輪職人は、作品を見る人に何を感じてほしかったんでしょうね。
現代の我々から見れば「かわいい」ですけど、盾持人は古墳のガードマン。
「勇ましい」「強そう」にしようとしたのが、当時の技術ではこうなってしまったのか。
古墳を侵害する悪党も、笑顔で迎えりゃ悪事を忘れるだろうと敢えてこんな顔にしたのか。

こちらは力士… え、力士っていつからいたの?

相撲の神様は野見宿禰(のみのすくね)と言うそうで、この人は埴輪を考案したとも言われているらしい。
意外なところで力士と埴輪は繋がるものなんですね。

見るからに鷹匠。
鷹匠は西暦355年に中国大陸から伝わったそうで、これも埴輪になっているのは不自然ではないんだと驚き。

「大変申し訳ございませんでした〜」?

お詫びの土下座は、「斬首されても依存なし」を体現した中世以降のもの。
邪馬台国では貴人から話を聞く時にはこのポーズをとる風習があった、「魏志倭人伝」にもそう書いてあるそうなので、古墳時代も同様だったんでしょう。

おっと、記事が随分と長くなってきましたね。
動物埴輪もそれぞれ個性があって、ほっこりする可愛らしさがあるんですけどねぇ。

特にこれが素晴らしいというのが見返り鹿、静岡県浜松の出土。
「え、なに?」とでも言わんばかりの表情、私でも思わず「可愛いな」と呟いてしまう円らな瞳なんですよね。

いやぁ、埴輪は面白い。
私にとっては、現代の彫刻作品よりもこっちの方がいい。

一体一体、何かコメントをしたくなるような作品が120点もずらっと。
これは観る価値十分にありの特別展、まだご覧になっていない方はこの週末に是非どうぞ。




【おまけのワンポイント】
・特別展「はにわ」は、2025/1/21(火)〜5/11(日)は九州国立博物館に場を移して開催されるとのこと。九州の方もお見逃しのないよう。

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