・家族からの誕生日プレゼントは、新潟と富山の銘品による晩酌の至福。洗練された山梨の銘酒で格調高く彩る。
誕生日の朝、娘が誇らしげに差し出してくれたのは、私の好みを完璧に把握した酒の肴二題。
妻と相談して選んでくれたというその心遣いが、何よりの贈り物です。
その中から、まずは「焼きえいひれ」を主役に、静かな晩酌を始めることにしましょう。
新潟の雪国が育んだ「能鷹」の魔法
パッケージには、「新潟銘酒『能鷹』仕立て」の文字が。
「能鷹」は上越市にある田中酒造の名酒で、雪国ならではのキリリとした辛口の中にも、米のふくよかな旨味が息づく酒。
清酒に含まれる有機酸がえいひれの特有の臭みを抑え、身を柔らかく解きほぐす効果があるんだそうです。
焼酎のソーダ割りを用意してと、まずはこのえいひれを一口。
おぉ、これは美味い。
噛み締めるたびに、能鷹のたれが醸し出す深い味わいと、香ばしく焼き上げられた身の甘みが口いっぱいに広がります。
キリッと冷えた焼酎がえいひれの濃厚な旨味を優しく包み込み、喉を通る瞬間の清涼感はまさに至福の一言。
自分を理解してくれる妻と娘の優しさが、酒の味をさらに格別なものにしてくれました。
富山湾の神秘と、富士の伏流水が織りなす調和
別の日に封を切ったのは、カネツル砂子商店の「ほたるいかすがたづくり」。
富山湾産のほたるいかにこだわり、一匹ずつ手作業で目玉を取り除くという、職人の執念すら感じる逸品です。
合わせたのは、山梨の名醸、笹一酒造の「笹一 甲州仕込み 白八咫(しろやた)」。
富士の伏流水を贅沢に使い、伝統的な製法に立ち返って醸された酒なんだそうです。
まずはたまり醤油に浸ったほたるいかを。
う〜ん、これはいい味。
目玉がないため口当たりが驚くほど滑らか、噛んだ瞬間に中から溢れ出すのはワタの濃厚なコク。
たまり醤油の熟成された塩気がワタの旨味を極限まで引き立て、深海のような濃密な味わいが舌を包み込みます。
そこへ「白八咫」を流し込むと、酒の清冽な酸味がワタの重厚さを鮮やかに洗い流し、口内をリセット。
海の濃厚さと山の清らかさが交互に押し寄せるような、贅沢で奥行きのある味わいを存分に堪能させていただきました。
こんなに美味なほたるいか、初めて食べたんじゃないかな。
素敵なプレゼントを送ってくれた妻と娘には、改めて深く感謝。
美味しかった、ご馳走さまでした。
【おまけのワンポイント】
・かつて、ほたるいかは「コイカ」と呼ばれ肥料にされることもあったんだそうですけど、今やその希少性と旨味から富山を代表する高級食材へ。この「すがたづくり」のように目玉を一つずつ取る手間こそが、現代の美食を支える日本人の繊細な技術の証明なんでしょうね。