【この記事のポイント】
・定年退職後の夢「日本全県制覇旅」第2弾。神話と戦国が息づく「宮崎県」を妄想旅行
・のんびり南国リゾートの皮を被った、AI案内人が提案する過酷な「時空のジェットコースター」ルート
・過酷な山城巡りの汗を「極限の水分・塩分補給食(冷や汁)」でリカバリーする大人の合理主義
定年退職後の夢である「日本全県制覇旅」の妄想シミュレーション。
前回の鹿児島編では、AIツアコン(Gemini)の計算ミスや「若手運動部並み」の黒豚ダブルヘッダーに翻弄されましたけど、だんだんと『理想の旅』の作り方が見えてきました。
そこで今回は、お隣の宮崎県(日向国)へ出発することにします。
宮崎といえば、青い海に揺れるヤシの木、のんびりとした日南海岸のドライブ、そして1個数千円もする贅沢な完熟マンゴー。
「今度こそ、温泉に浸かりながら南国の風に吹かれる、身体に優しい癒やしの旅になるだろう」
そう高を括っていたんですけど…
Geminiが江戸時代の道中案内人に…
画面の向こうで、Geminiがなぜか着物にインバネスコートを羽織るようなドヤ顔で、旅程表を提示してきました。
「へへっ、旦那。お待たせいたしました。あっしが今回の日向路をお供いたします、AI道中案内人のGeminiでございやす。」(Gemini)
あれ? 今日のGeminiはちょっと変ですね。
「旦那」とか言っているところをみると、江戸の道中案内人?
「へへっ、細かいことはお気になさらず。今回お送りするのは、単なる観光旅行ではございやせん。険しい山と海に挟まれた『陸の孤島』が生んだ、3つの世界を駆け抜ける旅でございやす。」(Gemini)
案内人というだけあって、調子だけは一人前。
話を聞くと、宮崎は外部との往来が困難な「陸の孤島」であったがゆえに、各エリアが独自の歴史や文化を失わずに「真空パック」のように保存されてきたのだとか。
Geminiが組み立てたルートは、その境界線を越えるたびに世界観がガラリと変わる、まさに「時空のジェットコースター」でした。
道中案内人が熱弁する、宮崎を反時計回りに踏破する「3つの世界」がこちら。
「陸の孤島」に真空パックされた、3つの世界
① 【北部山間部】阿蘇の火砕流が削り出した「神話・魔境エリア」(1〜2日目)
・旅のスタートは、宮崎空港から一気に北上して最北の高千穂へ直行。
・阿蘇火山の巨大噴火による火砕流が五ヶ瀬川に削られてできた柱状節理の深い渓谷。圧倒的な造形美は、太古の人々が「神の仕業」と信じるに十分な冷厳な空気をまとっています。
・天岩戸神社などを巡り、夜は高級高千穂牛の値段にビビりつつ、神楽酒を嗜む「神話の世界」へのダイブ。
② 【中部平野部】覇権を争った武将たちの「防衛・緊迫要塞エリア」(3〜4日目)
・山を降りて中部平野部に進むと、空気は一変して「戦国サバイバル」の緊張感に包まれます。
・四方を断崖と湿地に囲まれた伊東氏の本拠地・都於郡(とのこおり)城跡(別名「浮舟城」)や、金箔鯱瓦が出土した山城の佐土原城跡。
・さらには、島津義弘がわずか300の寡兵で大軍を包囲殲滅した伝説の木崎原(きざきばる)古戦場へ。
・スマホのGPSマップと戦国絵巻を重ね合わせ、血湧き肉躍る「100年戦争」の最前線を実地検証する泥臭いエリアです。
③ 【南部沿岸部】城下町と太平洋が交錯する「開放・飫肥エリア」(5〜6日目)
・内陸の緊迫感を抜けて南下すると、ついに目の前には青い太平洋が広がります。
しかし、ただのリゾートではありません。
・伊東氏5万1千石の城下町・飫肥(おび)は、堅固な石垣やクランク状の道路網といった強固な都市計画を今に留める「九州の小京都」。
・日南海岸をドライブし、奇観「鬼の洗濯板」や洞窟の「鵜戸神宮」を巡る、歴史文化と亜熱帯景観が交錯する実に贅沢なエリア。
アラ還の胃袋と足腰を破壊しにくる案内人
「旦那、どうでございやす? 神話、戦国、そして南国の海。宮崎を丸ごとハッキングする完璧な趣向でございやす。」(Gemini)
自画自賛する案内人。
確かに構成は見事だし、歴史好きとしてはゾクゾクするほど魅力的です。
でもね、ちょっと案内人、私のなまりきった足腰の計算が入っていないんじゃないかな。
「初日、宮崎空港に着いてから高千穂まで直行、移動距離は140km超。
2日目は渓谷を歩き回り、3日目は急勾配の山城に登り、4日目はえびの高原...
これ、戦国時代に行く前に私の足腰が崩壊するんじゃない?」
「へへっ、足腰の強化合宿にすり替わっていますねぇ。ですが旦那、3日目の夜の酒の肴は、その疲れを吹き飛ばす伏線でございやす。名物の『冷や汁』を流し込んでいただくんでございやす。」(Gemini)
ん?冷や汁が伏線?
「へい。冷や汁は、香ばしい麦味噌と魚の出汁を冷やし、熱々の麦飯にかける過酷な農作業のための『極限の塩分補給食』なんでございやす。汗をかいた身体を一瞬でリカバリーする、科学的ライフハックメニューでございやす。」(Gemini)
相変わらず、口車に乗せる能力だけは超一級品。
「山城でかいた汗を、サバイバル飯で補給する」なんて言われたら、すっかり乗っかってみたくなってしまうじゃないですか。
歴史の真空パックと、日向路を巡る妄想旅の醍醐味
宮崎の旅は、鹿児島の「桜島という絶対的なシンボルを中心に、火山とカリスマが一本の線で引っ張っていく旅」とは全く違いますね。
山々に隠された深い霧のなかで神話が生き続け、
湿地に囲まれた城跡で武将たちが生き残りをかけて血を流し、
荒波の打ち寄せる海岸線で一族が再起のときをじっと待つ。
そんな、エリアごとに独立した強烈なドラマが、陸の孤島だからこそ今もそのままの姿で遺されている。
案内人の無茶振りにボヤきつつも、私の頭のなかでは、九州山地を越えてタイムスリップしていくような日向路の青い空が、すでに鮮明に広がっていました。
さて、足腰の心配はひとまず置いておくとして。
次回は、この旅のなかでも特に案内人が熱狂した「戦国100年戦争のミリタリー地政学」と、島津義弘が愛した猫のちょっと可愛すぎるお話をお届けすることにいたしましょう。
【おまけのワンポイント】
宮崎名物「冷や汁(ひやじる)」は、鎌倉時代の『鎌倉管領家記録』にも「汁かけ飯」として記述が残る古い歴史を持つ郷土料理です。焼いたアジやイワシのほぐし身と香ばしい味噌をごま油や出汁で伸ばし、薬味(ミョウガ、大葉、キュウリ)を加えて冷やしたスープを熱々のご飯にかける調理法は、熱中症予防と消化吸収を極限まで高めた昔ながらの合理的な知恵なんですね。

