・ 870m強という数値に油断し、トレッキングポールを封印して挑んだ結果、筑波山の「本気」を身をもって知ることに。急峻な岩場が続く「白雲橋コース」の洗礼を受け、カメラを構える余裕すら失った登行だったなと。
筑波山神社での参拝を終え、いよいよ登山口へ。
筑波山といえば日本百名山の一つに数えられながら、標高は870m強。
初心者向けの山として知られ、休日ともなれば多くの登山客で賑わう「親しみやすい山」というイメージが先行していたんです。
「この程度の標高なら、トレッキングポールを出すまでもないだろう」
そんな根拠のない自信が、迂闊な「舐め」であったと痛感するまであと30分…
静かな分岐点:白蛇弁天への祈り
歩き始めてしばらくは、整備された道が続きます。「酒迎場(さかむかえば)分岐」までは実にスムーズ。
緩やかだが距離のある「迎場コース」を避け、我々は女体山頂へとダイレクトに繋がる「白雲橋(しらくもばし)コース」を選択です。
分岐のすぐ近くに鎮座していたのは「白蛇弁天(びゃくだべんてん)」。
白蛇が住んでいるという伝説が残るこの場所、古くから金運や開運のご利益がある聖域として大切にされてきたんだそう。
筑波山の豊かな水と神秘性を象徴するような佇まいで、登山の安全を見守ってくれているかのようです。
私たちもここで改めて、静かに手を合わせて今日の無事を祈ります。
余裕を剥ぎ取る岩場:カメラが止まった50分
弁天様を過ぎ、しばらく登ると登山道の表情が一変。
徐々に岩が目立ち始め、傾斜も急くなってきます。
それでもこの時点ではまだ、「まあ、ポールはなくてもいけるな」と高を括っていたんですよね。
でと、ここから約50分間、私のカメラには一枚の写真も記録されておらず。
理由は単純明快、「写真を撮る余裕など微塵もなかったから」です。
コースは予想を遥かに超える急峻な岩場の連続。
手足をフルに使い、一歩一歩を慎重に進むだけの時間に。
あまりの必死さに、ザックの中にあるポールの存在を思い出すことすら忘れていたほどでした。
途中で一息ついた私に、師匠がポツリと。
「ここを下るのは嫌でしょうから、登りに使うことにしたんですよ」
なるほど、これは至言。
この急勾配を逆方向に下る自分を想像しただけで、足が竦む思いでした。
弁慶も怯む難所にて:山頂前のエネルギー補給
時刻は10:45。登り始めから90分を要して、ようやく「弁慶茶屋跡(べんけいちゃやあと)」に到着。
かつてこの場所には、登山客を癒やす茶屋があり、多くの参拝者で賑わっていた歴史があるんだそうです。
現在は休憩スポットとして、登山者たちの重要な中継地点となっています。
「少し時間は早いですけど、ここでしっかり食べておきましょう」という師匠の提案。
その言葉の裏に「この先もまだ厳しいですよ」という含みを感じつつ、まずは南高梅のおにぎりを。
さらにハムタマゴのスナックサンド。
山の上では、こうしたシンプルな炭水化物の塊こそが最高のエネルギー源。
普段のウォーキングとは比較にならないほど消費された体に、旨みが染み渡ります。
水分もしっかり摂り、呼吸を整えてと。
いよいよ筑波山の真骨頂ともいえる「奇岩エリア」へ向けて再始動、というところで、続きはまた明日。
【おまけのワンポイント】
・白雲橋コースは、筑波山の主要ルートの中で最も岩場が多く、標高差以上に体力を要求されるコースなんだそうです。1月の低気温でも、急登ではかなりの汗をかくので、喉が乾く前に少しずつ摂取するのがバテを防ぐための鉄則。