ブリを食べるための、緑の魔法
高知には「ぬた」と呼ばれる、他県とは少し違った独自の調味料があるのをご存知でしょうか。 一般的な酢味噌のぬたとは違い、こちらは「葉にんにく」をすりつぶして、味噌や酢、砂糖と合わせた鮮やかな黄緑色のタレ。 にんにくの強烈なパンチと爽やかな酸味、そして味噌の甘みが渾然一体となった、まさにブリを食べるために生まれてきたような魔法のソースです。 昨日も書いた来客の際、ブリの刺身に合わせて出したんですけど、これが期待どおり絶品だったんですよ。 ブリはふるさと納税返礼品、高知県須崎市から送って頂いたもの。 過去のブログ記事にも書いている通り、味がいいのは折り紙付きです。「カエル色」のタレに挑む
さて、「土佐のぬた」をお皿に出してと。 妻の妹と娘さんも、これの存在を知らなかったようです。 「美味しいらしいんだけど、色が凄いよね。カエルみたいな。」 なんて言いながら、よし、それでは私も食べてみることにしましょう。 厚切りのブリの刺身、どっぷりと土佐のぬたに浸してと。 ペロッと一口… うん、これは美味い。 ブリのねっとりとした濃厚な脂に、葉にんにくの強烈な香りと爽やかな酸味が完璧に調和。 醤油で食べる時の「脂をそのまま味わう」感覚とは違い、ぬたがブリの脂のしつこさを綺麗にカットしてくれます。 にんにくの風味の後に、味噌の優しい甘みが追いかけてきて、口の中がとにかく賑やか。 これはブリをいくらでも食べられてしまう、恐ろしい緑のタレです。 いや〜、素晴らしい味。 お客さんも珍しいと喜んでくれて、何よりのおもてなしになってくれました。 この一度の食事では使い切れず、残りは冷蔵庫の中へ。翌々日のブリしゃぶと、娘への配慮
ブリもまだ半分残っていたので、翌々日の夕食はブリしゃぶにしてみました。 しゃぶしゃぶなので薄切りに。 帰りの遅い娘にとっておく分、これじゃ多すぎるかな… いや、多いか少ないかなんて、こうやって比較している私にしかわからないことだろう。 なんて思いながら、ブリが大好物の娘には少し多めに残しておくことにしました。 (と、もしかして読まれるかもしれないので、ブログにはこう書いておかないと) 昆布出汁を静かに張って、たっぷりの野菜を入れた鍋を用意。 そこに、薄切りにした須崎市のブリの身を箸でつまんで、さっと泳がせるようにくぐらせます。 表面がほんのり淡い白色に変わり、中の上質な脂が熱によって程よく活性化した瞬間が引き上げ時。 ポン酢に少し浸して口へ運ぶと、刺身の時とはまた違う、フワッとした身の食感とともに上品な甘みが口いっぱいに。 温められることでブリの脂がくどくなくなり、何枚でもいけてしまう。 出汁を吸ったクタクタの野菜と一緒に巻いて食べるのもまた格別ですね。 当然ながら、何枚かは白いご飯にのせた刺身で。 脂ののったブリの腹身、背身とはまた一味違う美味しさに唸ります。 背身(赤身側)は、ブリ本来の力強い旨味としっかりした身の歯ごたえが楽しめる、まさに王道の味わい。 対する腹身(トロ側)は、包丁を入れただけで脂が滲むほどで、口に入れた瞬間に文字通りとろけていきます。 この2つの対照的な美味しさを交互に味わえるからこそ、丸ごとのブリは飽きることがないですね。 いや〜美味しかった。 ご馳走さまでした。そして残された「緑の魔法」
… あ゛。 そうだ、土佐のぬたがまだ残っていたんだった。 ブリしゃぶに夢中になって、すっかり存在を忘れてしまってました。 まぁいい。 またブリの刺身を食べる口実ができた、ということでしょう。 いや、それとも他の魚にあわせて味わうことにしようかな。【おまけのワンポイント】 「土佐のぬた」は、ブリなどの脂の強い魚に合わせるのが王道ですけど、実は肉料理のソースとしても非常に優秀なんだとか。 たとえば、厚切りの豚のロースソテーや、冷しゃぶの上にこの緑のぬたをかけるだけで、にんにくのパンチと酢味噌のコクが肉の脂を綺麗に包み込み、一気に本格的なアジアン風おかずに化けてくれるんだそうです。






