【この記事のポイント】
・2019年以来約7年ぶりとなるお店での鰻、父の奢り宣言に甘えて佐原のお店へ
・本館定休日の危機を息子が救い、のれん分け『新館 山田』で名物「じか重」にありつく
・肉厚でふっくら香ばしい絶品の味、一口食べた瞬間に全員が無言になる食いしん坊の血筋
集合時間には全員が揃い、さて佐原の街観光に出かけよう。
11:30という集合時間は、そう、まずはランチから。
今回はなんと、父が鰻をご馳走してくれると張り切っていたんです。
お店で鰻を食べるのって、一体いつ以来なんだろう。
ブログを辿ってみると、2019年11月に茨城県笠間市の『うなぎ 量深』で食べたのが最後でした。
当時から7年近い歳月の間も、妻の実家でご馳走になったり、ふるさと納税返礼品では食べてはいるんですけどね。
高騰し続ける価格に私の経済感覚が追いつかず、いつしか鰻屋さんには寄り付くこともなくなっていたというわけです。
息子のファインプレーで見つけた、のれん分けの名店『新館 山田』
平日なので、街中に観光客はほぼおらず。
予約していなくても、どこのお店でも入れるだろうと思っていたんですけど…
佐原を代表する『うなぎ割烹 山田』は定休日。
ん? 観光客がいないということは、もしかして今日は街全体の鰻屋さんが全部お休みとか…
え〜、久々のお店鰻は夢と消えるのか…
なんて心配していたら、息子がGoogleマップで見つけてくれました。
『新館 山田』、『うなぎ割烹 山田』からのれん分けしたお店なんだそう。
予約無し、6人という大人数、ランチ時にサクッと受け入れてもらえたのはラッキーでした。
このお店では、「うな重」はご飯と鰻がセパレートの器に、ご飯の上にのっているのは「じか重」というんだそう。
どちらも料金は同じで、肝吸付きは4,800円、お吸い物だと4,300円とシンプルな設定になっています。
全員が「じか重」を選択、私は肝吸付きにしてもらいましたけど…
「鰻は高くて食べられないといつも言っているけど、ほら、メニューのここに「天丼2,300円」なんていうのもあるよ〜」
なんてニヤニヤしながら私に言ったのは、息子だったか妹だったか。
こういう意地悪なことを言うのは、さすが私と同じ遺伝子を持つ輩です。
旅の始まりを告げる乾杯。家族に溶け込むSさんの才能
さて、まずは旅の無事を祈ってということで、乾杯。
父は最近アルコールを控えているのでノンアル、ビールは妹友人のSさんと私のみでした。
Sさんには私も過去2〜3回会ったことがあり、両親も息子も初対面ではないんです。
とはいっても、我々家族にスッと溶け込んで全く違和感なし。
昔からよく知っている「親戚の子」みたいな立ち位置で、ごくごく自然に振る舞うことができる。
これは彼女の持つ素晴らしい才能、大したものだと感心です。
香ばしい川海老の唐揚げ。焼き上がりを待つ至福の時間
鰻は注文を受けてから焼くもの、なので時間がかかるのは仕方なし。
提供までの時間は、おしゃべりと川海老の唐揚げで繋ぎます。
カラッと揚がった川海老はいい味で、これだけでビール3杯はいけちゃうよな…
いやいや、旅はまだ始まったばかりなので、ここで酔いつぶれるわけにはいかないんです。
縦向きに並ぶ鰻の謎。郷に入れば郷に従う「じか重」の対面
おぉ、じか重がきたきた。
鰻は丸々1匹、いい色に焼き上がってますねぇ。
運ばれてきたお盆を見て、何かいつもと違うような…
「鰻って、縦向きに並んでいるものでしたっけ?」とSさん。
あ、それだ。
私が知っているうな重は、鰻が横向きに並んでいたんですよ。
重箱を90°回転させれば消える違和感ですけど、郷に入れば郷に従え。
よし、それでは改めて、頂くとしましょう。
出汁と三つ葉が上品に香る、透き通った肝吸い
まずは肝吸いから。
薄い塩味のなかには、肝から出たであろう旨味がほんのり。
三つ葉のシャキシャキ食感もよく、バランスよく仕上がっているのはさすが。
ふっくら香ばしい肉厚の鰻。食いしん坊一家を無言にさせる旨さ
さて、いよいよ鰻に。
箸を入れると、スッと抵抗なく切れる驚くほどの柔らかさです。
炭火で丹念に焼き上げられた皮目は香ばしく、一方で肉厚の身はふっくらトロトロ。
口に運べば、良質な脂の甘みが舌の上でじんわりとほどけていきます。
タレは創業以来継ぎ足されてきた秘伝の味、醤油の町・佐原らしいキレのある甘辛さがいい。
濃厚でありながら決してくどくなく、鰻の野趣あふれる旨味を極限まで引き立てています。
タレが適度に染み渡った硬めの炊き加減のご飯とともに、無心でかきこむ至福の時間… あれ?
ふと顔を上げると、さっきまでにぎやかだったテーブルが完全に静まり返っている。
食べ始めるといきなり無言になる家族、Sさんは「静かですね」と。
言葉には出しませんでしたけど、「あぁ、この人たちは全員筋金入りの食いしん坊なんだな」と納得したんでしょう。
そう、食いしん坊と、ちょっとした意地悪。
これが我々家族の遺伝子なんですよ。
ともあれ、いやぁ、この鰻は超美味。
ふるさと納税の鰻も美味だけど、ご飯にかかるタレの量まで計算されたお店の味はやっぱり違うと唸らされました。
4,800円でこの感動って、他じゃなかなかないよな。
これからは財布の紐を緩めて、たまには鰻を食べるというのは… どうだろうか。
父のご機嫌をとって、またご馳走してもらう作戦で行く。
これが私らしいやり方なんでしょうね。
ご馳走さまでした。
【おまけのワンポイント】
利根川下流域に位置する佐原は、かつて天然ウナギの好漁場であっただけでなく、江戸の食文化を支えた醤油醸造の一大拠点。
鰻の蒲焼きに欠かせない「濃口醤油」と「みりん」が豊富に揃っていたことから、佐原には300年以上続く老舗をはじめとする独自の鰻文化が根付いたんだとか。ご飯の上に直接蒲焼きを載せる「じか重」という呼び名も、せっかちな江戸っ子気質の客に温かいタレご飯を早く提供するために生まれた、歴史ある町ならではの知恵なんだそうです。





