・榛名山を背負った雄大な「八幡塚古墳」、5世紀の巨大な墳丘を歩く。墳丘内部の再現された石棺、数千の埴輪が語る古代王の圧倒的な権力に感嘆。
箕輪城から車を走らせること約10分。
やってきたのは、古代東国の中心地ともいえる「保渡田(ほとだ)古墳群」です。
メジャーな観光地なので、ミュージアムカフェや軽食コーナーの一つくらいはきっとあるだろう。
ライスを前方後円墳型に成形した「古墳カレー」、なんていうメニューに出会えるかもしれないですね。
デジタルの眼と、アナログの首:バックミラーの進化
車を停める際、隣で息子から「このミラー、優秀だね」と感心した声。
視線を向けると、なんとバックミラーの鏡面の一部に、アラウンドビューモニターとバックカメラとの映像が表示されているじゃないですか。
ナビ画面とミラーを交互に見る必要がない、ITの粋を集めたインターフェースですね。
(写真はピンボケですみません)
ところがどっこい、私は古風なドライバー。
窓を下ろし、首を180度近く捻って、自分の網膜に映る「生(なま)の映像」を確認しないと後退できないんです。
物理的な安心感という最後の砦は譲れない。
近代装備を全く使いこなせない姿を息子に苦笑されつつ、無事に駐車完了。
1500年前の「実装」:八幡塚古墳のパノラマ
一歩車を降りれば、そこには息を呑むような風景。
我々が朝方に行った榛名山を借景に、整然と葺石(ふきいし)に覆われた巨大な前方後円墳が鎮座しています。
古代と今日がシンクロ、実に雄大な景色だ。
八幡塚古墳は、5世紀後半に築造された全長約96mの巨大墳墓。
三段に築かれた墳丘は、全面が川原石による葺石で覆われており、当時の王が誇った絶大な権力を視覚的に誇示しています。
周囲には二重の堀が巡らされ、その構造はまさに「古代の城塞」。
保渡田古墳群の中でも最も美しく復元されており、当時の建築技術の高さを今に伝える貴重なアーカイブです。
数千の埴輪が守る、王の墳墓
古墳の周囲を歩き始めると、そこには異様な光景が広がっています。
整然と並ぶ埴輪の列。
これらは発掘調査に基づき、当時の配置を忠実に再現したものなんだとか。
古墳の表面はコンクリートで補強されているため、非常に歩きやすいんです。
実物大の再現モデルを自分の足で踏みしめる感覚、まるでタイムスリップしたかのような錯覚に。
墳丘や土手には、筒型の円筒埴輪がズラリ。
その数はなんと約6,000本にものぼるんだそう。
これらの埴輪は、聖域を外部から遮断する「境界線」としての役割や、墳丘の土が崩れるのを防ぐ土留めの機能を果たしていまとのこと。
単なる装飾ではなく、実利的用途と宗教信仰が融合した、極めて合理的な道具だったということなのか。
地下へのアクセス:石棺に眠る記憶
墳頂に登り詰めると、そこには意外な「下り階段」。
どうやらこの古墳、内部の埋葬施設までアクセス可能な設計になっているようです。
ひんやりとした空気に包まれた空間へ入ると…
おぉ、こりゃ凄い。
八幡塚古墳のユニークな点は、舟形石棺が2基並んでいること。
一基は主人が、もう一基はその近親者が眠っていたと考えられているんだそうです。
石材にはこの地方特有の角閃石安山岩が使われており、王の死後もその権威を永遠に残すための強固な「保管庫」としての威厳を放っていました。
遺跡ではなく、あえて「造られた当時の姿」に復元された八幡塚古墳。
その迫力は、歴史マニアならずとも満足できるもの、極めての満足度の高い体験となりました。
すっかり古代ロマンに取り憑かれ、食事の前に二子山古墳も見学しようかなというところで、続きはまた明日。
【おまけのワンポイント】
・八幡塚古墳の埴輪には、円筒以外にも「人物」や「馬」、「家」などの形象埴輪が多く見られます。これらは王の葬列や生前の儀式を再現しており、王の魂を慰めるだけでなく、後継者の正当性を示す「視覚的なデモンストレーション」でもあったんだとか。
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