【この記事のポイント】
・南相馬市で一千有余年続く戦国絵巻「相馬野馬追」へ。息子からの突然の誘いで始まった東北旅行のプロローグ。
・『セルフ駅そば』を完食した朝の胃袋にすんなり収まる、上野駅「紀ノ国屋(KINOKUNIYA)」で見つけたおにぎり弁当の絶妙なサイズ感。
・もち麦・枝豆・塩昆布が織りなす食感と、甘い卵焼き・鶏からが引き立てる、計算し尽くされた756円の贅沢な調和。
上野駅からの旅行、今回の目的地は原ノ町。
といっても、一体どこなんだかピンとこない方が大半でしょうね。
原ノ町は南相馬市。
相馬といえば… そう(ま、…あ、すみません)、相馬野馬追を観に行くんです。
いずれ行ってみたいと思っていた『相馬野馬追』、今回は息子が誘ってくれたんです。
ご存知ない方のため、まずは相馬野馬追について簡単にご紹介しておきますね。
・相馬野馬追は国の重要無形民俗文化財、一千有余年の歴史を誇る馬の祭典。
・甲冑に身を固めた数百騎の騎馬武者たちが街を進軍したり競馬をしたり。
・戦国絵巻さながらの光景が現代に蘇るイベント。
そんな熱い歴史の息吹を体感する親子旅の始まりです。
行きは仙台まで東北新幹線。
上野から仙台までは1時間半程度しかかからないとはいえ、新幹線に乗るとなれば「お弁当」は外せない儀礼です。
つい先ほどホームの『セルフ駅そば』を平らげたばかりの私の胃袋。
さすがに普通のずっしりした駅弁は重すぎるかな…
こんな優柔不断な迷いにピタリとハマってくれたのが、上野駅の構内にある「紀ノ国屋(KINOKUNIYA)」でした。
ここには駅弁ほどヘビーではなく、それでいて朝食にちょうどいいスマートなラインナップが揃っています。
軽くサンドイッチかおにぎりでもつまもうかな、なんて思いながら店内を見回していると、今の私の胃の腑の具合に、これ以上ないほど合致する折詰を発見。
迷わず購入し、新幹線のホームで待つ息子と合流。
車窓の景色が流れ始めたところで、鮭ともち麦枝豆塩昆布のおにぎり弁当(756円)を取り出します。
「…え、お父さん、さっき蕎麦を食べたんでしょ。まだ食べるの?」
横に並ぶ息子、当然のように呆れ顔で私のお弁当を見つめています。
「おにぎり以上、お弁当未満というちょうどいいサイズ感。たまにはこういう引き算もいいんだよな。」
なんて屁理屈で煙に巻きながら、さて、それでは頂きましょう。
まずは、右翼に布陣する「もち麦枝豆塩昆布」のおにぎりから。
これが想像以上に美味しかったんですよ。
口に含んだ瞬間、もち麦特有のプチプチ、モチモチとした小気味よい弾力が心地いい。
そこに程よい固さを残した枝豆のコリッとした歯ごたえが重なり、噛むほどに塩昆布のまろやかな塩気と旨味が全体を優しく包み込んでいきます。
この重層的な食感、いいなぁ。
普段食べているおにぎりとは、ひと味もふた味も違う新しい味わいですね。
続けて、左翼の本陣に控える「鮭」へと攻め込みます。
こちらはご飯の上にちょんと身をのせただけ、極めて繊細な防衛線。
注意して食べないと、鮭の身がポロリと崩れて新幹線のシートの隙間に落下、むなしく討ち死にすること必定です。
箸先に全神経を集中させ、慎重にいざ進軍!
事故を避けて無事に口に運ぶと、鮭のふっくら身のほぐれ加減がじつに素晴らしい。
塩加減は控えめ、鮭本来の滋味深い旨味がしっかりと引き立つ絶妙な塩梅で仕上げられています。
決して大きな切り身ではない。
でもそうであるが故、鮭の存在感を何倍にも引き立ててくれるんです。
「量より質」という大人の朝食、合理的組み合わせの正解がここにあるという感じです。
さらには、脇を固めるおかずの「心強い遊軍」としての働きもまた見事。
卵焼きは少し甘めの昔ながらの味付け。
これが、塩昆布の鋭い塩気に対して、自陣を優しく立て直す「完璧な救援軍」として機能してくれるんです。
一方の鶏の唐揚げは、衣はしっとりとしつつも、噛みしめると鶏肉の力強い弾力とジューシーな旨味が広がる。
頼もしい「急先鋒」といった風情の本格派です。
おにぎりの繊細な味わいとこれらのおかずの濃厚な個性が交互に押し寄せる。
わずか756円という小さな折詰の中に、見事な味の起伏と調和が織りなされていて、非常に高い満足感を得ることができました。
う〜ん、なるほどねぇ。
新幹線の中で食べるべきもの、名物駅弁だけではないんですね。
値段も手頃だし、味の設計も非の打ち所がない。
紀ノ国屋のおにぎり弁当には、確かな「光るもの」があったなと。
いや〜美味しかった、ご馳走さまでした。
【おまけのワンポイント】
新幹線での移動時は、つい「せっかくの旅行だから」と豪華な幕の内やヘビーな肉系駅弁を選びがち。でも朝一番の車内や、少し小腹を満たしたい時には、こうした軽めの上質なおにぎり弁当が最も胃腸に優しく、これからの旅路の足取りを、この上なく軽やかに整えてくれます。
大人の旅の「引き算の合理性」、ぜひお試しください。
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