いくら国宝だからって、本殿を観るだけで700円はちょっと高過ぎじゃないか。
でもここに来ることはもう二度とないだろうし、まぁ仕方ないかな。
そんな不満を持ちながらでしたけど、これは絶対に観ないと損。
立派な彫刻と彩色の美、こんな場所にあったとは。
左に見えるのが本堂で、鉄柵のこちら側に入るのにお金がかかるんです。
向こう側で「どうしようかな」と悩んでいる時、本殿の一部がチラッと。
色物のチラ見せ、いかにも好奇心を唆る魅せ方なんかに私ゃ引っかからないぞと思っていたんですけれどけ、ここは凄い。
囲いの中に入ると、バーンと目の前にこんな風景。
床下から屋根まで、ビッシリと一面の彩。
日光東照宮が更に凄いのは知っていますけど、よりコンパクトに、集中的にある方がむしろ美しく見えるような。
ただ観るだけじゃ「凄いな」なんですけど、ボランティアガイドさんのお話を聴くと理解が深まるんですよ。
「白い彫刻は象、当時の日本には象がいなかったので、絵や想像を元に作ったものなんです。」
(うん、そりゃそうだな。)
「その右側、本来なら紅く塗られるべき部分が塗られていないの、見えます? これは敢えて塗らないんです。」
「完成させると、後は崩れていく一方。建物に限らずですけど、昔の日本には『完成させない』という美意識があったんですよ。」
(へぇ、そうなんだ。現代の高層ビルなんかでも、わざとボルトを閉め忘れたり、なんてことやってないよな…)
「この彫刻、鷹(あれ?鷲だっけ?)が猿を虐めているみたいでしょ。そんな殺生をここに彫る訳がない。」
「これは、落水した猿を鷹が助けた、という図なんです。」
(微妙だけど、そう言われりゃそう見えるかな…)
「これが作られた江戸時代中期は、景気が悪かったんです。なので少しでも笑いをということで、七福神も遊んでいる姿で。」
「日光東照宮の施工も終わった後なので、その技術がここにも受け継がれているんですよ。」
「でも公費は一切使われておらず、民間の寄付のみで作られている、これも凄いですね。」
(確かに凄い、莫大な寄付ができるとは、それだけこの地の方は豊かだったんだな。)
「専門家の間で、最も評価の高い彫刻はこれ。」
その理由は聞いたような気もするけど、周囲の井戸や他のものに気を取られて忘れてしまいました。
今改めて見ても、これだけ生き生きとした姿を1枚の板から彫り出す技、しかも手彫りでというのは凄いことだなと。
最後は拝殿まで戻って、そこでガイドはお仕舞い。
丁寧な解説を30分強、いやぁ勉強になりました。
ここを訪れたら是非、お話を伺うべきだと思いますよ。
妻沼聖天山歓喜院
048-588-1644
熊谷市妻沼1511
拝観時間 9:30~16:30
(ガイドは10:00~16:00の定時開始)
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