モーションウィジット

2025年7月18日金曜日

【旅行】日本の始まりの地へ!初代天皇が即位した奈良・橿原神宮を訪ねる

【この記事のポイント】
・ランチを終え、日本の建国ゆかりの地、橿原神宮を訪問。カプコン創業者の故郷でもある橿原市で、意外なケン像との出会いも。広大な境内を歩き、白木の鳥居や神武天皇陵に日本の歴史の深さを感じつつ、厳かな空間を巡りました。



ランチを終えて、いよいよ奈良での歴史探訪の始まり。
今日の最初の目的地は、日本の建国ゆかりの地とされる、橿原神宮です。

橿原宮は、神武天皇が初代天皇として即位された場所。
一度はこの地に立って、日本の始まりに思いを馳せたいと思っていたんですよね。

まず、橿原神宮に入る前にと。
道端で見かけた像、こりゃ一体何だ?

世界的ヒットとなった対戦格闘ゲーム、『ストリートファイター』のケンというキャラクターなんだとか。

なぜここにあるかというと、ゲームメーカー「カプコン」の創業者が橿原市出身なんだそう。
歴史的な場所であると同時に、現代文化とも繋がる一面もあるというのは興味深い。


広大な境内と、神武天皇陵への思い



境内の案内図を見ると、その広大さが分かります。

境内地だけで約50万平方メートル、東京ドーム11個分の広さ。
その大部分が森に覆われており、神聖な雰囲気なんです。

神武天皇陵は、正式には「畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)」と呼ばれ、宮内庁が管理しています。
文献によると、神武天皇は現在の宮崎県、日向から東征を行い、この橿原の地で即位したとされています。


厳かな鳥居をくぐり、神域へ



広大な境内地の入口に立つ、最初の一の鳥居。


ここからが神域。
鳥居をくぐることで、日常の世界から神の世界へと切り替わる、そんな感覚になります。

神武天皇は、日本書紀や古事記に記された伝説上の人物。
その「東征」という物語は、古代日本の統一や国家形成の過程を象徴していると解釈されることもあります。

実在性はともかく、日本の歴史を語る上で欠かせない存在であることには変わりないでしょう。

さらに進むと、二の鳥居が見えてきます。


鳥居がよくある朱色ではなく、白木ですね。
これはもともと鳥居は白木であったところ、神仏習合で仏教の魔除けの色である朱色に塗られるようになったらしい。
歴代天皇の御陵はその影響を受けず、白木なんだそうです。


南神門と外拝殿



二の鳥居を過ぎてしばらく歩くと、南神門が見えてきます。



格式高い門構えに、身が引き締まる思いですけど…
いや〜、それにしても暑い…

日陰を選んで歩いてきたつもりでも、境内は広いので直射日光を浴びることもしばしば。
こりゃ熱射病に気をつけないといけないな…

ふと振り返ると大きな池、あっちに行くと涼しいかな…


深田池と呼ばれるこの池、神宮の景観に潤いを与えています。
池の周りを散策路が整備されており、ゆったりと歩くことができるようです。

とはいえ、陽を遮る屋根や木もないし…
諦めてとっとと参拝を済ませることにしましょう。

南神門をくぐり、神宮の中心部へ。


広々とした空間の先に、立派な外拝殿。
そして外拝殿の向こうには、畝傍山(うねびやま)が見えます。

畝傍山は、橿原神宮の背後にそびえる、なだらかな円錐形の山。
大和三山の一つとしても知られ、万葉集にも詠まれている、この地域の象徴的な存在。


外拝殿と畝傍山が一体となった景観は、非常に雄大で神聖な雰囲気だなと。

高さ4.5m・幅5.4mもある大絵馬を拝み、外拝殿の前で手を合わせます。
日本建国ゆかりの地で静かに祈りを捧げる、歴史の始まりに立つ特別な瞬間でした。


最後に



名古屋からの近鉄特急の旅を経て、日本の始まりの地とされる橿原神宮を訪問。

広大な境内、歴史的な鳥居、そして雄大な外拝殿と畝傍山。
日本の成り立ちに思いを馳せながら、厳かな雰囲気に包まれた空間を歩く。

暑さのため池の周りは断念しましたが、それでも神聖な空気を肌で感じることができました。

歴史好き、そしてウォーキング好きとして、非常に満足度の高い訪問となりました。
この後も、奈良の歴史の舞台を巡っていきたいと思います。




橿原神宮
奈良県橿原市久米町934
0744-22-3271
開門 5:30〜6:30 閉門 17:00〜18:00 (月により変更)

2025年7月17日木曜日

【グルメ】橿原神宮前駅すぐ!昭和レトロな『津田食堂』で絶品うどん定食

【この記事のポイント】
・橿原神宮前駅近くの参道沿いで、昭和レトロな定食屋『津田食堂』を発見。出汁が絶品のうどんに品数豊富な定食、そして優しい握りのおにぎりを堪能し、大満足のランチ体験でした。



大和八木から近鉄橿原線に乗り換えて、橿原神宮最寄りの橿原神宮前駅に到着。


駅舎の造り、神社を想起させますね。

時刻は11:15、あと15分で開店する店もあるだろうから、ランチを先に済ませておこうか。
事前に調べて、橿原神宮の参道沿いにある『津田食堂』に心惹かれていたのでまずは行ってみましょう。


昭和レトロな『津田食堂』



駅から歩いて数分、参道沿いに目的のお店が見えてきました。


どこか懐かしい、昭和レトロな雰囲気。
まさに私の好きなタイプの定食屋さん、地元で長く愛されてきたであろう温かい空気感が伝わってきます。

暖簾をくぐると、壁に手書きも交えたメニュー。


価格帯もリーズナブルで、最も高い肉イタメ定食でも850円。
どれも美味しそうで迷います。

そんな中で私の目を引いたのは、「おにぎり」という文字。
そういえ、ばおにぎりって暫く食べていないかもしれないなと。

うどんとおにぎり、ダブル炭水化物の定食は普段選ばないものの、この後に暑い中を歩くのでエネルギーも必要。
よし、「うどん定食」750円にしましょう。


時がゆっくり流れる店内




テーブルや椅子は新しく、花が飾られたり店内は整然としてますね。
でも穏やかな女将さんの応対のおかげか、時間がゆっくりと流れているような雰囲気。
飾らない、温かい雰囲気のお店っていいなと。


うどん定食、品数の多さに感動



注文してしばらくすると、うどん定食が運ばれてきました。


お、品数が多い。
うどんにおにぎり、サラダ、小鉢と4皿、ボリュームも満点です。

よし、それじゃ頂きます。


サラダの上に玉子焼き、このお店のおもてなしの心を感じます。
玉子焼きはもちろん、野菜は新鮮で野菜本来の甘みがあって美味しい。

付け合せ小鉢の甘く煮込まれた大根や、味の染みたこんにゃくも、ホッとする優しい味わいで素晴らしい。
おふくろの味のような、愛情がこもった手作りの美味しさですね。


主役のうどんを味わう



さて、いよいよ主役のうどん。


まずは出汁を一口… お〜、これは美味い。

関西風の透き通った黄金色の出汁。
鰹節や昆布の旨味が幾重にも重なり合った、深みのある味わいです。

麺はどうだろうか。

讃岐うどんのような強いコシはない、柔らかくてツルツルとした麺。
奈良のうどんは米粉や山芋粉を加えてつくるそうで、このもっちりとした食感と滑らかな喉越しは素晴らしい。

この優しい麺、美味しい出汁をしっかりと持ち上げてくれます。
なるほど、これは出汁を味わうためのうどんなのかも。

具材には、定番のネギとかまぼこ、そして大きな揚げ(油揚げ)が乗っています。


揚げには厚みがあるのが特徴。
油揚げというより、超薄い揚げ豆腐といった感じの食感です

出汁をたっぷりと吸い込んで、口の中でじゅわっと旨味が広がり、うどんとの相性も抜群。


おにぎりの優しい握り



さて、期待のおにぎりはと。


海苔を添えられたシンプルなおにぎり。
口に運ぶと、ホロッとした優しい握りです。

コンビニのおにぎりのように固くなく、手で優しく握られた温かみ。
ご飯の甘みと塩加減が絶妙なのは、美味しいお米を使っているからでしょう。

うどんの出汁と共に頂いて、日本のソウルフードの組み合わせの素晴らしさを再確認でした。


最後に



橿原神宮参拝前に、参道沿いの『津田食堂』で頂いたうどん定食。

昭和レトロな雰囲気、品数の多さ、そして何よりも出汁が無茶苦茶美味しい、優しい味わいのうどん。
おにぎりや付け合せも素晴らしく、ボリュームも満点。

2025年7月16日水曜日

【旅行】新幹線グリーン車並み?近鉄特急「ひのとり」はレギュラーシートでも凄かった

【この記事のポイント】
・名古屋から奈良へ向かう旅の始まりは、近鉄特急「ひのとり」での快適な移動体験。シートの機能性や洗練された車内空間、私鉄特急の進化についてレポートします。



旅行2日目、この日は名古屋から近鉄線で奈良へ。
目的は、橿原神宮や藤原京といった日本の歴史の礎となった場所を訪れることでした。

まずは近鉄名古屋駅で、目的地の最寄り大和八木駅までの特急チケットを購入しようかなと。
駅に到着したのは8時半前でした。

まだ午前中だし、普通の日曜日だし、そこまで混んでいないだろうと。
これが油断で、特急券の券売機をみてびっくり。
予約できる一番早い特急は9時18分発、意外に混んでいるようですね。


名古屋駅のシンボル、ナナちゃん人形



少し時間があるので、名古屋駅周辺を散策することに。
近鉄名古屋駅といえば、やはりこれを見ておかないと。


久々に出会ったナナちゃん人形、相変わらずの存在感です。
「め」の纏を横にしているので… これは火消し装束なんだな。

季節やイベントに合わせて様々な衣装に変わるので、訪れるたびに違う姿。
名古屋駅の待ち合わせスポットとして、長年親しまれているシンボルですね。


赤い疾風、近鉄特急「ひのとり」



今回乗車する9時18分発の特急列車、一体どんな車両だろうか。
ホームに入ってきた列車を見て、思わず「おぉ!」と声が出ました。

この光沢のある赤い外見、近鉄特急で有名な新型車両「ひのとり」じゃないですか。


「ひのとり」は、2020年に運行を開始した近鉄の新しい特急車両。
「くつろぎのアップグレード」をコンセプトに、全席がゆとりあるシートとなっているそうな。

その洗練されたデザインと快適な居住性で、鉄道ファンのみならず、多くの乗客から高い評価を得ているようです。
一度乗ってみたいと思っていたので、これは嬉しいサプライズ。


驚きのシート、バックシェルと広さ



車内に足を踏み入れると、その空間の質に驚かされます。
レギュラーシートでも、全席2列配置なんだな。


座席がどういう構造になっているのか、最初はよく分からず。
じっくり眺めてみて納得です。

この造り、前の方が座席をリクライニングさせても、背もたれが後方に倒れるのではなく、座面が沈み込むようにスライドするのみ。
座席全体がシェルに覆われているので、後ろの席の人に気を使うことなく、自分の好きな角度にリクライニングできるという構造ですね。

調べてみると、座席間隔も116cmと非常に余裕あり。
新幹線グリーン車と同等の広さなんだそう。

私鉄の特急でこれほどのシートピッチを確保しているのは凄い。


高級感あふれる車内空間




木目調の内装や、落ち着いた照明。

ゆったりとした座席配置のおかげか空いているように見えますけど、実は座席は半分ぐらいは埋まっています。
それでも人の頭がほぼ見えないのにも驚きますね。


フル活用できる快適装備



さて、せっかくのゆったりシート。
私も座席の機能をフルに活用してみようかなと。


まず、テーブルは2つ。

前の座席の背面にある折りたたみ式のテーブルと、窓側にある小さなサイドテーブル。
ノートパソコンを広げたり、飲み物を置いたり、使い分けができて便利です。

フットレストも装備されており、レバーで角度調整が可能。
自分の楽な姿勢に合わせることができます。

各座席にWi-FiとAC電源コンセントが完備されているのは、現代のビジネス客や旅行者にとっては当然の装備と言えるでしょう。

これらの設備、特に座席の快適性やプライベート空間の確保は、正直なところ新幹線の普通車よりも快適だなと。

小田急ロマンスカーの最新車両GSE(70000形)や、関東の西武鉄道の特急「ラビュー」(001系)も同様ですけど、最近の私鉄特急列車の進歩は本当に凄い。
こんなに立派な座席なら、名古屋から奈良までの比較的長い旅でも、全く疲れないなと感心です。


最後に



名古屋から奈良への旅の始まりは、近鉄特急「ひのとり」という予想外の出会いから。
事前の予約状況には少し焦りましたが、結果として憧れの「ひのとり」に乗ることができ、その快適性を存分に体験できました。

バックシェルシートによるプライベート空間、広々としたシートピッチ、充実した設備。
私鉄特急のレベルアップを肌で感じたひとときでした。

おかげで移動疲れもなく奈良に到着。
さて、それじゃ観光にというところで、続きはまた明日。




【おまけのワンポイント】
・のぞみとひのとりの大阪までの料金・所要時間比較は以下の通り。時間はかかるものの、低コストで電車旅を楽しめるのがひのとりですね。
のぞみ  : 6,680円、所要時間 50分〜1時間
ひのとり:4,990円 、所要時間 2時間7分~2時間13分
(運賃2,860円 + 特急料金1,930円 + 特別車両料金200円)

2025年7月15日火曜日

【グルメ】老舗『うなぎの新甫』から出前鰻!自宅で味わう贅沢なひととき

【この記事のポイント】
・名古屋の妻の実家での夕食は、老舗『うなぎの新甫』からの贅沢な出前鰻。年季の入った岡持ちから始まり、美味しい刺身、そして名古屋ならではの地焼き鰻を堪能しました。



名古屋の妻の実家での夕食。
この日の主役は、なんとも贅沢な鰻でした。

手配してくれたのは、『うなぎの新甫』からの出前。
過去にも何度かご馳走になっていて、このお店の鰻が美味しいのはよく知っています。


年季の入った岡持ち


時間になると、お店の方が岡持ちを持って到着。


以前にもブログでご紹介したことがあるこの岡持ち。
年季の入り方が尋常ではありません。

美味しい鰻を各家庭に届けてきた歴史が、この岡持ちの傷や色褪せに刻み込まれているかのよう。
鰻の老舗ならではの風格です。

「美味しいものが届く」という期待感を、この岡持ちの佇まいがさらに高めてくれます。


出前でも抜かりなし、美味しい刺身


鰻に加えて、美味しい刺身も用意されていました。


新鮮で美しい盛り付けの刺身。
よし、早速頂きましょう。

口に含むと、魚の旨味と甘みが広がり、感心するほど美味しい。
鰻の出前と一緒に、これほど質の高い刺身も楽しめるのかと改めての驚き。

さすがは老舗、料理全体のレベルが高い。


主役登場、名古屋の鰻を堪能



そして、いよいよ主役の登場。
蓋を開けると、食欲をそそる香りが立ち上ります。


艶やかな蒲焼きがご飯の上に敷き詰められたうな重。
そして温かい肝吸い。

名古屋の鰻といえば、関西風の「地焼き」が特徴。
関東風のように蒸しの工程がなく、皮はパリッと、身はふっくらと焼き上げられます。

タレも、醤油が控えめで甘みが強いものが多んだとか。
この『新甫』の鰻も、まさに名古屋の地焼きの真髄です。


箸で持ち上げると、表面の皮の香ばしさが伝わってきます。
口に入れると、まず皮のパリッとした食感、そしてその後に続く身のふっくら感、そしてジューシーな脂の旨味。
蒸さないからこそ味わえる、この香ばしさと食感のコントラストがたまらないんですよね。

タレは鰻の風味を邪魔することなく、ご飯と鰻を繋ぐ役割をしっかり果たしています。
鰻本来の美味しさを引き立てる、絶妙なバランス。

ご飯も、タレが程よく染み込んでおり、鰻と共に口に運ぶと至福の瞬間。
一切れ、また一切れと、箸が止まらなくなる美味しさです。

食事中、義母が「関東の鰻とどちらが好き?」と。
あれ、自分が最後に外食で鰻を食べたのはいつだろうか。

普段、外食で鰻屋さんに行く機会はなく、もっぱらふるさと納税の返礼品で鰻を頂くことが多い今日このごろ。

おそらく、最後にちゃんとしたお店で鰻を食べたのは、2017年に千葉県の北小金にあるお店で頂いたのが最後かなと。
それだけ、私にとって鰻は特別な機会なのかもしれません。

どちらが好きか、そりゃ回数を食べている名古屋かな。


最後に



名古屋の老舗『うなぎの新甫』さんからの出前。
年季の入った岡持ちから始まり、美味しい刺身、そして主役の名古屋地焼き鰻。

皮はパリッと身はふっくら、香ばしい鰻と甘めのタレがご飯に絡む、至福のうな重でした。
自宅でこれほど質の高い鰻を味わえるというのは、出前文化が根付く名古屋ならではの贅沢です。

美味しい料理を囲んで、家族との温かい時間を過ごすことがで来たことに感謝。

いやぁ、美味しかった。
ご馳走さまでした。






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2025年7月14日月曜日

【散歩】地形が要塞!北から攻めた末森城跡(城山八幡宮)が面白かった

【この記事のポイント】
・名古屋・千種区の城山八幡宮へ。戦国時代の末森城跡を、普段と違う北側から歩き、地形を活かした防御施設や歴史の痕跡を巡りました。ユニークな恋占いもあったりと、ウォーキングを通じて土地の歴史を感じるひとときでした。



水の歴史資料館で名古屋の水道史について学んだ後、さて、妻の実家に戻ることにしようか。
ついでと言ってはなんですけど、以前にも何度か行ったことがある城山八幡宮に立ち寄ってみようかなと。

城山八幡宮は、戦国時代に末森城という城が建っていた地。
これまでは南側からアプローチしていたものの、今回は少し異なるルートで。


末森城、北からの視点



末森城は、織田信秀、あの織田信長の父親が東山丘陵の一角に築いた城。
築城された目的は、南方に備えるためです。

当時の主な敵対相手は、駿河国の今川氏や三河国の松平氏、つまり南から攻めてくる勢力。
そのため、城は南に向けて切り立った地形を利用して堅固に造られています。

逆に、北からのアプローチは比較的緩やか。
今回のルートだと、末森城城の防御施設や地形がどうなっているのかがわかるというわけです。


城山八幡宮の近く、北側から坂を登り始めます。
まだこのあたりは緩やかな坂道。


歴史の重なり、相応寺と常楽寺



坂道を登り始めて、まず最初に見えたのが相応寺。


ここは、尾張藩初代藩主である徳川義直の生母、お亀の方の菩提寺だそう。

徳川義直といえば、織田信秀が備えた松平氏の子孫。
備えとして造られた城の一角に、後の徳川家ゆかりの菩提寺が移ってくるというのは、歴史の面白い巡り合わせですね。

相応寺はもともと名古屋城下にあったものの、1900年代初頭、名古屋市の中心が商業施設として開発されるなか、1934年にこの地に移転されたんだそう。
都市開発と歴史ある寺院の移転、これもまた都市の歴史の一側面です。

さらに坂を登りきったところに、常楽寺があります。


この道、一見なんの変哲もない普通の道路に見えます。
けどこのお寺の左右は、地形的に切り立った崖になっているのです。

かつてここは、末森城を守るための天然の要害、いわゆる「虎口(こぐち)」への狭まりとなっていたようです。
この狭隘な地形のおかげで、大軍が一気に攻め込むことができず、少数の兵でも守るのが容易な造りになっているんだなと。


攻め難い城の造り



常楽寺を過ぎてさらに進むと、その先には深い空堀が現れます。


ここもまた、攻め手にとっては大きな障害となる場所。
堀の底からの高低差が大きく、容易には乗り越えられないでしょう。

末森城は、織田信秀時代に造られた後、織田信長の次男である織田信雄が改修したと言われています。
こうした複雑な造作や防御施設の強化は、この信雄による改修の際に行われたのかもしれないとのこと。

戦国時代の城は、まさに地形を最大限に活かした実戦的な要塞ですね。

城跡に立つ、城山八幡宮



空堀を越えると、いよいよ城山八幡宮の境内です。


八幡宮となっているこの場所は、末森城時代には北の丸的な位置づけであったと言われています。
城の中心部を守る、重要な曲輪の一つだったんでしょう。

戦国時代の実戦的な城の様子を、神社の境内という形で感じ取れる造りになっています。


ユニークな恋占い



城山八幡宮には、ユニークな「桃取石の恋占い」というものがあります。


桃取石(青石)に触れて願いを込めた後、目を閉じたまま振り返り、反対側の赤石まで無事にたどり着けるかどうかで恋の行方を占うというもの。
一人用と二人用(男女で青石・赤石に分かれる)があるようです。

説明書きを読むと、一度目でたどり着ければ祈り叶う、二度目・三度目なら努力すれば叶う、人の助けを借りてたどり着けたら誰かの援助が必要、とのこと。

こういった参拝者が楽しめる仕掛けがあるのも、現代の神社の工夫ですね。


帰り道、鰻への期待



そんなこんなの城山八幡宮を後に、そろそろ妻の実家に帰ることにします。


来た時とは別のルート、階段を降りて実家方向へ。
夕暮れが近づき、今日のウォーキングも終盤です。

今晩は、名古屋の美味しい鰻をご馳走になる予定、そのことを考えると足取りも軽くなりますね。

というところで、名古屋の鰻についてはまた明日。


最後に



今日のウォーキングは、名古屋・千種区にある城山八幡宮(末森城跡)を、北側からアプローチするという試み。
地形を活かした城の防御施設や、歴史的な寺院の移転、そして城跡に立つ神社の姿など、いくつかの発見がありました。

特に、あまり知られていない北側からの地形は、末森城が戦国時代にどのように機能していたのかを理解する上で非常に興味深かったなと。
ウォーキングを通じて、普段は意識しない土地の歴史や地形を感じ取ることができました。




城山八幡宮
愛知県名古屋市千種区城山町2-88
052-751-0788
社務所 9:15〜16:30

2025年7月13日日曜日

【散歩】水道の歴史探訪中にプチハプニング!?名古屋の歩道橋で酷暑の洗礼

【この記事のポイント】
・名古屋・千種区の水の歴史資料館で、水道施設の役割や料金の歴史などについて学習。資料館周辺のウォーキングでは思わぬハプニングもありつつ、「水を飲みて源を想う」という大切な気づきを得ました。



昨日も書いた名古屋ウォーキング、水道史探訪の続き。
前回は千種区にある水の歴史資料館に立ち寄り、名古屋の水道の始まりについて触れました。

今回は、その資料館での学びを深めつつ、再び周辺の水道関連施設を巡っていきます。


水の歴史資料館での学び(後編)



『水の歴史資料館』の展示、けっこう見応えがあるんです。


こちらは、名古屋の水道施設の象徴とも言える、東山給水塔の写真と模型。
優美な円筒形のデザインは、どこか異国の建築物のようです。

昭和5年に完成したこの給水塔は、現在も現役で水を供給しているとのこと。
都市景観の一部としても親しまれており、近代化遺産としても価値の高い建築物ですね。

給水塔と似た施設に「配水塔」というものがあります。


給水塔は浄水場から送られてきた水を一時的に貯めておくもの。
対する配水塔は、給水区域へ水を安定した圧力で供給するためのものだそうです。

写真の稲葉地配水塔は、その役目を終えた後、解体されることなく、図書館や演劇練習場として再利用されているというのが面白い。
古いインフラ施設が新しい形で市民生活に根ざしているというのは、歴史好きの好奇心をくすぐります。

水道料金の歴史に関する展示も興味を引きました。


かつて、名古屋の水道料金は一律だった時期があるそう。

使用量に関わらず、1戸につき45銭という定額制。
なぜかというと、当時は水道メーターが高価で、各戸に設置することが難しかったからだとのこと。

定額制だと水の無駄遣いが問題になり、やがて水道メーターの普及とともに計量制へと移行。
技術の発展が料金システムを変え、人々の水の使い方も変えていったんだなと。

資料館の展示には、遊び心を感じさせるものも。


これは、広川ポンプ所の建物内を描いたトリックアート。

高さを感じる構図で、はしごに掴まっているようなポーズで記念撮影ができるよう。
こうしたユーモアのある展示は、歴史やインフラに馴染みのない人でも楽しめますね。

とはいえ…
高所恐怖症の私には、こんなトリックアートでも背筋がゾクゾクする、ちょっとした恐怖体験。

歴史的なインフラに関連する展示物として、レンガ積みのマンホールもありました。


これは、下水道の初期に使われていたもの、内部がレンガで丁寧に積まれています。
現代のコンクリート製とは異なり、職人の手仕事を感じさせる構造。

地中に埋もれた場所にも、確かな技術と手間がかけられていたことに感心、まさに隠れた産業遺産です。


再びウォーキングへ、そして驚き



水の歴史資料館での学びを終え、再びウォーキングに出発。

東山配水場5行配水池、浄水場から送られてきた水を一時的に貯め、安定した圧力で市内各所に送り出すための重要な施設。
近代水道の心臓部の一つと言えるでしょう。

遠くにみえるのは… おぉ、あれが東山給水塔か。

資料館で模型を見たばかりなので、実物に出会えたことに感動です。

キノコのような、どこかかわいらしい独特のシルエットに関心しながら、給水塔へ近づくために歩道橋を渡り始めると…
いきなり足元の鉄板が「バコン!」と。

大きな音を立てて凹むという予想外の出来事にびっくり。
夏の暑さで鉄板が熱せられ、膨張して歪み、私の体重で彎曲したんでしょう。

頭では理解できるのものの、あの大きな音と感触は心臓に悪い。
「底が抜けるんじゃないか!?」とかなりビビったなと。

夏場の橋や道路、温度変化による思わぬ挙動があるものです。


水を飲みて源を想う



今回の水道史探訪ウォーキングで感じたことがこの碑に。

「水を飲みて源を想う」。

蛇口をひねれば、いつでも当たり前のようにきれいな水が使える現代。
これは、過去からの数多くの人の苦労、技術の進歩、そして維持管理に携わる方々の不断の努力を通じてもたらされるものです。

その「源」に感謝する気持ちを忘れてはいけないなと、強く思いました。
普段は意識しない都市のインフラに光を当てるウォーキング、多くの学びと気づきを与えてくれます。


最後に



名古屋・千種区での水の歴史を巡るウォーキングは、予想外のハプニングもありつつ、非常に有意義な時間に。
水の歴史資料館での学び、そして実際に水道関連施設や近代化遺産に触れることで、都市の暮らしを支える見えない努力について、深く考える機会を得ました。

知的好奇心と運動を兼ねたウォーキングは、やはり面白いもの。
また機会を見つけて、様々な都市のインフラや歴史の痕跡を辿ってみたいと思います。




水の歴史資料館
愛知県名古屋市千種区月ケ丘1-1-44
052-723-3311
営業時間 9:30〜16:30
休館日 月曜日、年末年始