・煮崩れしにくい背身の特性を活かした王道の「ブリ大根」と、保存性と食味を両立させる「コンフィ」。和食の伝統からフレンチの技法までを受け止める懐の深い身質を味わう。
昨日の記事では、高知県須崎市から届いたブリの「腹身」を刺身としゃぶしゃぶで堪能した様子をご紹介しました。
本日は、脂が比較的少なく、身質がしっかりとした「背身(せみ)」の活用法について。
素材の特性を活かし、和と洋の二つのアプローチで攻略してみました。
伝統の再構築:ブリ大根から始まる旨味の連鎖
まずは、和食の定番「ブリ大根」から。
脂が適度に抑えられた背身は、長時間煮込んでも身の輪郭が崩れず、煮物には最適な部位です。
作った当日のオカズとして食してみると…
飴色に染まった大根がブリの旨味を余すことなく吸い込み、口の中でじゅわっと解ける至福。
背身ならではのしっかりとしたブリの食感は、甘辛い煮汁と絶妙なコントラストを生み出します。
生臭さは一切なく、ただひたすらに深い滋味が身体に染み渡る、まさに伝統の味。
さらに今回は、ブリ大根が完成した後の煮汁を再利用。
里芋を投入し、その旨味をに吸わせてみました。
ブリと大根のエッセンスが凝縮された煮汁を、ねっとりとした里芋が完璧にホールド。
メインを凌駕しかねない名脇役の誕生、というのは言い過ぎですかね。
保存と洗練:低温で時間を制御する「ブリのコンフィ」
続いて、趣向を変えて洋のアプローチ。
数日後の食卓を見据え、「ブリのコンフィ」を仕込みました。
コンフィのプロセス:
・ブリの切り身に塩を振って余分な水分を出し、ビニール袋にハーブともに入れたオリーブオイルに浸します。
・袋のまま鍋の湯に入れて、弱火でじっくりと加熱、タンパク質が凝固しすぎないように10分。
・そのままオイルごと冷まして味を落ち着かせる、保存性にも優れたフランスの知恵。
冷蔵庫で3日間。
オイルの中で静かに熟成の時を過ごしたブリを、いよいよ実食です。
一口食べてみると…
3日間の熟成を経て、オイルとハーブの香りが身の深部まで浸透、驚くほどしっとりとした質感に進化。
低温調理ならではの滑らかな解け具合とともに、ブリの凝縮された旨味が上品に広がります。
塩気が角を落とし、円熟味を増した味わいは、まさに白ワインを誘う大人の一皿。
保存食としての機能美と、洗練された味わいが同居する傑作となりました。
我ながら、この背身の使い分けは正解だったなと。
刺身で鮮度を、煮物で滋味を、そしてコンフィで洗練を。
一匹のブリがこれほどまでに多様な表情を見せてくれるのは、素材そのものの質が極めて高いからでしょう。
高知県須崎市の皆様、素晴らしい冬の恵みを心ゆくまで堪能させていただき、本当にありがとうございました。
【おまけのワンポイント】
・煮物は冷める過程で味が素材の奥まで定着。一度完全に冷ましてから再加熱するのが、ブリ大根を美味しくする手順ですね。
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