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2026年3月16日月曜日

【旅行】締めくくりはだるまの聖地・達磨寺へ。巨匠タウトが愛した洗心亭で触れる日本美の神髄

【この記事のポイント】
・高崎のシンボル「縁起だるま」の聖地『少林山達磨寺』へ。世界的建築家ブルーノ・タウトがこの地に住み、日本のモダンデザインの発展にも貢献したということを知る。


巨大な蕎麦の鉢と格闘し、文字通り「身も心も」重くなった我々。
高崎旅行を締めくくる最後の目的地は、縁起だるま発祥の地として知られる『少林山達磨寺(しょうりんざんだるまじ)』です。

赤いネットワークの始点:高崎とだるまの深い縁





高崎といえば「だるま」。
選挙の当選ニュースなどで見かけるあのだるまの約80%は、ここ高崎で生産されているんだそうです。

始まりは江戸時代。
天明の大飢饉に苦しむ農民を救うため、達磨寺の九代目住職が、開祖・達磨大師の座禅像を模した木型を農民に与え、「張り子だるま」を作らせたのがきっかけなんだとか。

以来、七転八起の精神を象徴する縁起物として、高崎の街に深く根付き、今や世界的なブランドへと成長を遂げています。

静寂と喧騒のインターフェース:霊符堂と石段





境内の中心に位置する「霊符堂(れいふどう)」は、北極星を神格化した妙見菩薩を祀る荘厳な建物。
堂内には役目を終えた数多のだるまが納められており、その無数の視線に射すくめられる感覚には、ここでしか味わえない独特の圧を感じます。



隣接する「達磨堂」には、日本各地の珍しいだるまがアーカイブされているとのこと。
でもまぁ今日は中には入らず、外にデンと構える巨大達磨を拝んで先に進むとしましょう。



少林山達磨寺の標高は約160m、ここにアクセスするには坂や階段を登る必要があるんです。

必死の形相で一段ずつステップを刻む参拝客と、その傍らの鐘楼で「ゴーン……」と世俗の塵を払うような静かな鐘を突く人。
この動と静のコントラスト、なかなかシュールですね。

ちなみに駐車場は霊符堂・達磨堂のすぐ裏にあるので、歩くのが苦になる方もアクセス可能です。

知の隠れ家:ブルーノ・タウトが愛した「洗心亭」





境内の片隅に、ひっそりと佇む平屋が。
ナチスを逃れて来日したドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトが、1934年から約2年間過ごした「洗心亭(せんしんてい)」です。

タウトは桂離宮の美しさを世界に再発見させた人物。
その後、この高崎の地で日本の工芸品を指導し、独自の日本美論を深めたんだそうです。



実際に建物を目にすると、驚くほど純日本風の素朴な家屋です。

住み慣れたベルリンの近代建築から遠く離れ、この小さな和の空間で彼は何を想ったのか。
洗心亭から見下ろす高崎の雄大な景色は、当時の彼にとっても、日本文化への深い愛情と理解を育むものであったんでしょうね。

結び:近くて遠い、遠くて近い「高崎」という選択



さて、時計を見れば14:00。
在来線で帰っても、17:00には家に着くだろうな。

今回の滞在は24時間にも満たないもの。
それでも鴻巣の雛祭りから始まり、榛名神社・箕輪城、古代の巨大古墳、そしてこの達磨寺まで。
驚くほど密度の濃い時間を過ごすことができたなと。

日帰りで行くには少々遠く、宿泊するには近すぎる。
そんな絶妙な距離感の地に、敢えて「泊まって歩く」という旅もまた楽しいものというのを改めて実感です。

次はどこの「絶妙な距離」を狙ってみようか。
そんなことを考えながら、上州の風を背に帰路につきます。

連載にお付き合い頂き、ありがとうございました。




【おまけのワンポイント】
・タウトは、達磨寺で「だるま」の絵も描いているんだそうです。建築だけでなく、工芸や絵画まで幅広く手がけた彼の多才さは、まさにマルチタスクなクリエイターの先駆けだったんですね。

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